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格闘技・プロレス

お嬢様学校から銀行員、そしてプロレスラーに。才女・雪妃真矢はなぜリングを目指したのか?「何事も常に挑戦の思いで」

萩原孝弘

2022.03.04

フリーランスのレスラーとなって活動の幅を広げている雪妃。彼女が歩んできたプロレス人生は実に興味深い。写真:萩原孝弘

フリーランスのレスラーとなって活動の幅を広げている雪妃。彼女が歩んできたプロレス人生は実に興味深い。写真:萩原孝弘

「何事も常に挑戦の思いで、知らない世界を見て、経験して、精力的に活動したいと思っています」

 2022年からフリーランスレスラーとなった雪妃真矢は、初年度の指針をこう示した。

 フリーランスとは文字通り自由に戦える反面、己の力のみで勝負する厳しい世界。だが、文武両道、才色兼備の彼女は、自分の信念にのっとりリスクを厭わない。あえて荒波に身を投じる人生を送ってきたからだ。
【動画】DDTの紅一点だった赤井沙希と繰り広げた激闘! 雪妃真矢のファイトシーン

 そもそも雪妃はプロレスとは無縁の道を歩んでいた。フェリス女学院大学を卒業後に銀行に就職。ごくごく普通の仕事に従事していたのである。

 そんな才女が、"プロレスの沼”にハマったのは、姉がキッカケだった。連れられて訪れたDDTの試合に心奪われ、一気にのめり込んだ。そして、“観られる者”へと転身するパッションは日増しに強くなり、ついには銀行の退職を決意した。

 もちろん「信頼と安定を手放す様な気がして、怖い思いはありました」と強い葛藤も感じていた。しかし、雪妃は「人生最初で最後の挑戦と覚悟を持って、行動に移しました」と夢へと意を決した。

「一度社会に出た事は本当に素晴らしい経験だったと思います。できん坊主の行員だった私に優しくしてくださった同僚と上司には、感謝してもしきれません」

 社会人としてのイロハを享受され、なおかつプロレスラーになる挑戦にも快く背中を押してくれた仲間の思いも胸に抱いた雪妃は、不退転の決意を持って女子プロレス団体「アイスリボン」で研鑽を積んだ。そして、紆余曲折の末に2014年にアイスリボンでデビューを果たし、周囲、そして何より自分の念願を成就させた。

 強い信念でもってプロレスラーとしてのスタートラインには立った。だが、雪妃はそこから度重なる骨折と怪我に泣かされ続けた。レスラーとしての“天賦の才”を持つわけではないと実感させられ、「憧れたリングは、私なんかが目指してはいけない舞台だったのだと感じていました……」と弱気の虫が顔を出すときもあった。

 それでも、「欠場していても応援して下さる方の為に必ず復帰をしなければと、その支えが全てでした」と、ファンの無形の力に報いるためにと、雪妃はただ前を向き続けた。
 
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