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ラグビー

フランスは点差ほど浮き足立ってはいなかった――ラグビー日本代表はなぜティア1の強豪を追い詰めながら金星を手にできなかったのか?

THE DIGEST編集部

2022.07.09

試合後にフランス代表と記念撮影を行なった日本代表。歴史的な初勝利は手にできなかった。写真:金子拓也(THE DIGEST写真部)

試合後にフランス代表と記念撮影を行なった日本代表。歴史的な初勝利は手にできなかった。写真:金子拓也(THE DIGEST写真部)

 あきらめない日本も75分、途中出場の堀江翔太のロングスローをリーチが落とし、これを拾った同じく途中出場のテビタ・タタフが相手ディフェンスをなぎ倒しながら、強引にインゴールに飛び込んだ。しかしこれはTMOでノックオンの判定。日本の再逆転はならなかった。
 

 ただ、国立がこの日一番の歓声に沸いたこのシーンも、フランス代表のキャプテンは冷静な目で見ていた。

「ウィークサイドを突かれたが、我々には明らかにノックオンだと分かっていたので、まったく慌てることはなかった」

 ティア1の強豪国を追い詰めたのは事実だが、15―20という僅差の最終スコアほど、フランスは焦りを感じていなかったのかもしれない。

 日本だけでなく、フランスにも確かにミスは多かった。しかし、1・5軍のメンバーとはいえ、フランスの選手たちはここぞという勝負所を逃さず、逆に日本は決めきれなかった。それが、善戦しながらも歴史的初勝利を奪えなかった理由だろう

 今回のテストマッチ4連戦と、それに伴う5週間の合宿を経て、若い選手とベテランが融合したジェイミー・ジャパン。今回はケガで参加できなかった流大や中村亮土、松田力也といったレギュラークラスが加われば、さらにもうワンランク上のチームに成長するポテンシャルは十分に秘めている。確かにそう感じさせるこの日のフランス戦だったが、一方で勝てる試合を落とした印象も、また強く残った。

 試合後のジェイミーHCの言葉が、すべてを言い表わしているのかもしれない。

「若い選手たちを試せたのはポジティブな材料だ。しかし彼らは、自分たちのゲームが十分ではなかったことを理解すべきだろう。こうしたタフなゲームは、“その一瞬”で仕留めなければ勝つことは難しい」

取材・文●吉田治良
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