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バレーボール

絶賛された謝罪会見も「ものすごく反響が怖かった」。トヨタで学んだ川合俊一新会長で日本バレー界が変わる【独占インタビュー】

北野正樹

2022.07.15

 川合会長の指導力や危機管理能力が一気に評価されることになったのは、OVA経理担当理事による2579万円の着服問題への対応だ。約4700万円が使途不明との情報に接し、公表を渋っていると聞くと、大阪に出向いてOVA会長や理事長から事情聴取。その後、着服金が返済されたことで刑事告訴や公表をためらうOVAに対し、記者会見で公表すること勧め、会見に同席して謝罪した。
 

「お金を返したらいい、記者会見はしなくてもいいという関係者もいましたが、不祥事は公表しなければなりません。記者会見も私が勧めました。我々、親団体は子(団体)が悪いことをすれば一緒に謝るのは当然です」
「泥棒ですから。泥棒は警察に突き出すのが普通。罪は償わなければいけません」

 分かりやすく明快な説明は、バレーファンのみならず、多くの人から評価され、不祥事が逆にJVAの評価を高める結果となった。

 絶賛された謝罪会見だが、「ものすごく、怖かったですね。謝罪会見をやることで、袋叩きになるかなと思いました。話し始めて口が上手く開かず、顔が緊張しているのが分かりました。五輪での試合と比べることは出来ませんが、試合前に体が緊張することはあっても、顔が緊張することはテレビの生放送でもありませんでした」と川合会長。

 初めての謝罪会見。しかし、いわゆる「読み原稿」は用意しなかったという。「会見は生き物。細かな台本を作ってもどうなるのかは分かりません。内容だけ把握して、事実関係など簡単なメモだけ用意しました」。飾らず、自分の言葉で話した方がいい、という広報部の判断もあったそうだ。

 ありのままの姿で臨んだ謝罪会見とは対照的に、不祥事公表までには周到な準備がなされていた。

 大阪で開かれる記者会見をメディアに通知したのは、会見4日前の午後。JVAにとっても監督責任を問われかねない不名誉な内容だったが、「スポンサー様やファンの方の入場料収入も入っているかもしれないお金。在京の記者も含め多くのメディアに来てもらいたかった」と、その意図を話す。

 さらに、謝罪会見までの間にスポンサーや関係者に情報を伝え、会見時間は支援してもらっている上場企業の株価に影響を与えることのないよう、株式市場が閉じた午後3時に設定する配慮までもされていた。
 
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