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バレーボール

絶賛された謝罪会見も「ものすごく反響が怖かった」。トヨタで学んだ川合俊一新会長で日本バレー界が変わる【独占インタビュー】

北野正樹

2022.07.15

株式会社カプコンの辻本春弘代表取締役COO(中央)と、JVAトップパートナー発表会見に臨んだ川合俊一会長(左は眞鍋政義女子日本代表監督) 写真:JVA提供

株式会社カプコンの辻本春弘代表取締役COO(中央)と、JVAトップパートナー発表会見に臨んだ川合俊一会長(左は眞鍋政義女子日本代表監督) 写真:JVA提供

 危機管理対応には、現在も在籍するトヨタ自動車での経験が生きた。

 「例えば、車は不誠実に作ったら人をあやめる可能性がありますから、真面目に一生懸命に作らなければなりません。また、(不具合情報を公開する)リコールも隠さずに公表します。言うのは勇気がいりますが、そのような会社で学んだ人間が(JVAに)来ているんですから、言うのはやめよう、隠そうというのはないですね」

 前会長の不祥事を生む土壌になったJVAの機構改革にも、「トヨタイズム」は生かされている。
 「(トヨタ自動車の)豊田章男社長は、『トヨタ社員は家族です。何かあったら助け合うのが当たり前』『みなさん、やりましょうよ』と仰います。JVAで機能していない部署があれば、僕も『みなさん、やりましょうよ』と話します」
 

 JVA会長への就任依頼が来た際、豊田社長に「7年間、トヨタで学んだことを1つのスポーツ団体に落とし込み、どのような変化が起きるのかチャレンジしたい」とメールで報告した。「返ってきたのは『いいね』という、最高の誉め言葉でした」と笑顔で語る。

 今回の不祥事対応への評価だけでなく、「川合効果」は表れている。それを誰よりも感じているのが、JVAと協賛してくれる企業の橋渡しをする広告代理店の担当者だ。

 5月6日、東京都内で行われた女子日本代表の会見に先立って行われた「JVAトップパートナー発表共同記者会見」で、ゲームメーカーの「株式会社カプコン」(大阪市中央区、辻本春弘代表取締役社長COO)との3年間のオフィシャルスポンサー契約の締結が発表された。

 契約金額は公表されていないが、「1つの会社としては、おそらく過去最高額」(川合会長)で、「年間数億円」(関係者)ともいわれる。

 両者を結びつけたのは、日本代表やJVAが主催する各種大会協賛獲得に向けた代理店業務契約を結んでいる「一般社団法人 スポーツリパブリック(橋本明代表理事)」。

 カプコンは1983年に大阪で創業し、「遊文化をクリエイトする感性開発企業」を企業理念に掲げ、現在では世界200カ国以上の国や地域に笑顔と感動を届け心豊かな生活へ貢献することを目指している。

 子供からママさんまで競技人口が多く、代表は世界を転戦することから「バレーの国際活動とバレーの振興への支援を」とセールスしたが、同社と交渉を始めたのは、ビーチバレーの国際大会のキャンセルを巡る診断書偽造問題でJVAが大きく揺れていた今年1月という、最悪のタイミングだった。

 しかし、前会長らの隠蔽を厳しく指摘した第三者委員会の報告を受けた理事会が、前会長の解職などを決議。JVAが信頼回復に向け速やかに動き出したことが、クライアントに好感を持って迎えられたのは想像に難くない。

 橋本代表理事は「クライアント様には『心機一転して頑張っているJVAを応援してほしい』とお話をするのですが、心機一転という言葉を最も体現しているのが川合会長だと思います」と話す。

 今回のOVAの不祥事に対する川合会長の対応についても「交渉先で『正々堂々と謝っておられ、すごく印象は良かったですね』と仰っていただけました。何千万円、何億円の支援を検討して下さる方々のご意見ですから、ありがたいですね。JVAに以前のような暗いイメージはありませんし、代表選手も頑張って雰囲気は明るくなりました。協会の体制もどんどん良くなって来て、その点もありがたいですね」と、JVAの変化を実感している。
 
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