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フィギュア

【現地取材】紀平梨花の“国際大会復帰演技”をどう評価する?「収穫もあった」と本人も手応えのパフォーマンスを振り返る

沢田聡子

2022.10.11

 そして昨季の開幕前にアイスショーで披露した『タイタニック』と比べ、紀平の滑りには壮大な曲調にふさわしい伸びやかさが加わった。プログラム終盤に連続して行なうコレオシークエンスとステップシークエンスでは、一蹴りの伸びが増したスケーティングが強い印象を残した。ジャンプを跳べない時期に、拠点としているトロントの名門・クリケットクラブで積んだ地道な鍛錬の成果かもしれない。得点は、中部選手権から15点あまり上がった113.44だった。

 試合後の記者会見で、紀平はほっとしたような表情を見せていた。
「今回はチーム戦だったので、悪い方に引っ張ってしまわないかすごく不安だったのですが、皆さんが本当に素晴らしい演技だったので、なんとか優勝することができてまずは嬉しいです」
 
 また、中部選手権より3回転ジャンプを1本増やしたステップアップの手応えについて問われると「ジャンプは、すごくいい感覚」と答えている。

「やっぱり練習量を控えていますし、ミスや怪我のリスクをとるぐらいだったら、少ない練習量でも試合で決められる自信があるジャンプを今回は入れるようにしているので。今から練習でやってみようと思ったら、多分もっともっとたくさんいろいろなジャンプが跳べると思うのですが、一応今は練習も控えめにさせてもらっていて。試合ではミスもあったのですが、でも以前の中部選手権より大きなミスではなかったと思いますし、課題でもあった体力も結構戻ってきている気はしています」

「最後まで集中して滑り切れたので、収穫もあった試合だった」と総括した紀平には、充実感も漂った。見据えているのは、世界選手権の代表選考会となる全日本選手権だ。世界選手権の会場となるさいたまスーパーアリーナで再び滑るため、紀平は焦らず、一つひとつステップを上っていく。

取材・文●沢田聡子

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