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マラソン・駅伝

札幌移転が決まった東京五輪マラソン、テロ対策・警備は準備できるのか?

石田英恒

2019.11.28

2013年のボストンマラソンでは、痛ましい爆弾テロ事件が起きた。(C)Getty Images

2013年のボストンマラソンでは、痛ましい爆弾テロ事件が起きた。(C)Getty Images

 米国で起きたボストンマラソン爆弾テロ事件(2013年)は、テロリストがコースの沿道で爆弾を爆発させ、多数の死傷者を出した爆弾テロ事件として有名だ。果たして、これを防ぐ手段などあるのだろうか?

 もう1つ、車両を使ったテロも脅威になっている。フランスのニースで起きたトラックテロ事件(2016年)では、花火を見に来た帰りの観光客の群衆にトラックが突っ込み、84人の死者を出すという大惨事になった。車両によるテロは、ほかでも起きており、マラソンのコース沿道の群衆への車両テロは十分に考えられている。

 具体的な対策では、警視庁は、東京マラソンの警備で、車両突入防止のためイスラエル製の車両突入防止の金属柵を多数導入し、万全な車両テロの警備態勢をつくり上げていた。

 爆弾テロ警備では、爆弾探知犬の導入、都内に多数存在している防犯カメラを使った不審者のあぶり出し、観客に紛れた私服警官が不審者を見分ける目を養ってきた。
 
 これらに加え、東京マラソンでは「ランニングポリス」での警備を行なってきた。そこで、ランナーの視点からの観客の動向や警備の死角を見付けてきた。また、選手に威圧感を与えない警備態勢の構築にも一役買ってきた。

 警視庁では、テロ対策を含めたマラソン警備のシミュレーションをし、東京オリンピックのマラソンに対する警備を「東京マラソン財団」と共に築き上げてきたのだ。

 オリンピックでのテロは、世界中の注目を集めることができる。国際テロ組織のイスラム国(IS)などイスラム過激派が日本敵視政策を取り、近年、実際に日本人が狙われて犠牲者が出ている。国内の過激派も依然として危険な存在だ。実際は、テロのリスクは、過去のオリンピックやワールドカップよりも格段に高くなっている。だが、それを警備するのは、準備期間を全く与えられない、テロ対策に不慣れな地方の警察組織という皮肉な現実になっている。

取材・文●石田英恒(フリーライター)

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