影響力のある要人が公の場で発したコメントだけに、反響は小さくなかった。

　過去五輪で５つの金メダルを獲ったノルウェーの巨人、ヨハンネス・ベーは失望を口にする。「フールカデはナイスガイで何年にも渡って私が目標にしてきた存在だが、ちょっと今回の見解は酷すぎるよ。もはや尊敬に値しない。せっかくIOCでアスリート委員になって嬉しかったのに……」とうなだれた。

　平昌五輪・男子バイアスロンのリレーで金メダルのスウェーデン代表、セバスティアン・サミュエルソンも懐疑的だ。「フールカデがそういう考えを持っているのは知っていたよ。でも、まったく同意なんてできないね。ルールを破れば報いを受けるべきで、彼らは参加を認められるべきではないんだ」と説いた。

　かたや、ロシア側からは賛辞が続出している。

　ロシア代表のバイアスロン選手で、北京五輪で３つの銅メダルを獲得したエドゥアルド・ラティポフは「フールカデが支持を示してくれて嬉しいし、僕たちのことを理解してくれる人がいると思うだけで心強いよ」と本音を吐露。過去の冬季五輪でクロスカントリー、バイアスロンを合わせて３つの金メダルに輝くアンフィサ・レスツォワ氏は「まさかフールカデからあんな言葉を聞くとは驚きね」と語り、「あれだけの地位にいる人物が政治的な圧力に屈していない。素晴らしい言動よ」と称えた。
  　さらに、ロシア・バイアスロン連盟のウラジーミル・ドラチェフ元会長も「フールカデの意見は実に的を射たもので、リスペクトしたいね」と賛辞。その一方でIOCに対しては「選手たちに中立の立場など存在しない。国旗を掲げるか、家にいるかのどちらかだ。そんな議論は不毛である」と突っぱねた。

　はたして、IOCが投げかけた“検討案”はやや軽率で時期尚早だったか。世界中からアンチの風が吹き荒れるなか、今後の動向が注視される。

構成●THE DIGEST編集部

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