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【名馬列伝】強烈な印象を残したダイワスカーレットの強さ! “牝馬の時代”を象徴したウオッカとの「二強対決」を振り返る

三好達彦

2023.02.16

 2頭の直接対決について振り返ってみる。

 初めて顔を合わせたのは2007年のチューリップ賞(GⅡ)。このときは逃げるダイワスカーレットをウオッカがわずかに(クビ差)差し切って優勝。前年の阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)を勝って2歳女王に輝いた貫禄を見せることになった。
 
 2度目の対決はクラシック第一弾の桜花賞(GⅠ)。このときは3番手に控えてレースを進めたダイワスカーレットが直線で抜け出すと後続を引き離し、ウオッカの追い込みを1馬身半しりぞけて優勝。チューリップ賞での借りを返してGⅠ初制覇を成し遂げた。

 その後、2頭の対決が注目されたが、ダイワスカーレットは感冒のため休養に入り、ウオッカは日本ダービー(GⅠ)へ進んで、戦後初となる牝馬の優勝という快挙を成し遂げた。

 3度目の対決となったのは同年の牝馬三冠最終戦の秋華賞(GⅠ)。”二強対決”と呼ばれて盛り上がった一戦だったが、勝負はあっさりとついた。4コーナー先頭で直線に向いたダイワスカーレットは2着に1馬身1/4の差を付けて圧勝。”ぶっつけ”での参戦となったウオッカは後方から追い込んだものの、3着にとどまった。

 続くエリザベス女王杯(GⅠ)は、ウオッカがレース前日に跛行で出走取消するというアクシデントがあったなか、ダイワスカーレットが鮮やかに逃げ切って、3つ目のGⅠタイトルを手にした。また同時に、ウオッカを退けて、2007年度JRA賞の最優秀3歳牝馬の栄光に輝いた。

 4度目の対決となったのは同年の有馬記念(GⅠ)。このレースは前述したとおり、マツリダゴッホの大駆けにあったダイワスカーレットは2着に粘ったものの、ウオッカは見せ場も作れず11着に敗れた。

 そして、2頭の名牝にとって最後の直接対決となったのが、冒頭に記した2008年、”伝説の天皇賞(秋)”だった。

 競馬では「負けてなお強し」というフレーズが頻繁に使われるが、このレースのダイワスカーレットほどその言葉にふさわしい馬はいないのではないかと思う。

 その後、ダイワスカーレットは脚部不安で現役続行を断念。ウオッカとのライバル対決、また陣営が発表していた海外遠征の夢も叶わぬ夢となった。

 類稀なるスピードに恵まれ、またそのスピードの驚異的な持続力で一時代を画したダイワスカーレット。ライバルであるウオッカと繰り広げた火花散る戦いは、中央競馬を席巻した“牝馬の時代”を象徴していた。
(了)

文●三好達彦
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