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【名馬列伝】最高のライバル・ダイワスカーレットとの出会い。ウオッカは”64年ぶり”の偉業を競馬史に刻む日本ダービーへ<中編>

三好達彦

2022.10.29

2007年3月3日、GⅢチューリップ賞で初対決したウオッカ(右)とダイワスカーレット(左)。のちに2頭は多くの歴史的な激闘を生むことになる。写真:産経新聞社

2007年3月3日、GⅢチューリップ賞で初対決したウオッカ(右)とダイワスカーレット(左)。のちに2頭は多くの歴史的な激闘を生むことになる。写真:産経新聞社

 父にタニノギムレット、母にタニノシスター。母の父にルションという血統の元にカントリー牧場で生まれたウオッカ。種牡馬としての成績が思うよう上がらない自家生産馬の種牡馬タニノギムレットをバックアップする意味もあって所有する繁殖牝馬に交配した末に生まれた牝馬だった。

 育成もカントリー牧場で行なわれ、当初はさほど目立つ馬ではなかったというが、本格的に乗り始めると秘められていた能力が覚醒。育成担当スタッフがコントロールできないほどのパワーとスピードを示すようになり、谷水雄三オーナーや牧場スタッフの期待は否が応でも高まった。

 栗東トレーニング・センターの角居勝彦厩舎に入厩したのは2006年、2歳春のこと。調教が開始されると早くも能力のずば抜けた高さを発揮し、条件馬と併せるのではまともな調教にならず、当時の角居厩舎でトップクラスであるGⅠホース、デルタブルース(豪GⅠメルボルンカップ、菊花賞など)やハットトリック(GⅠマイルチャンピオンシップ)などをパートナーに変更。それでも彼らと互角の走りを見せたのはよく知られた話だ。
 

 待望のデビューは10月末の新馬戦(京都・芝1600m)。スピードの違いで先頭を奪うと直線へ向いても脚色は衰えず、2着に3馬身半差を付けて快勝。次戦の黄菊賞(500万下、京都・芝1800m)では逃げ馬を差し損ねて2着に敗れてしまった。しかし、陣営のウオッカに対する高い評価は揺るがず、抽選対象となりながらそれを潜り抜けて阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ、阪神・芝1600m)へ出走に漕ぎ付ける。

 レースは単勝オッズ1.6倍という圧倒的な1番人気に推されたアストンマーチャンが抜け出すが、中団から爆発的な末脚を繰り出した4番人気のウオッカがクビ差交わしてゴール。デビュー3戦目で早くもGⅠタイトルを手にするとともに、翌年のクラシック候補としてもトップランナーの位置を得た。翌2007年はオープンのエルフィンステークス(京都・芝1600m)で始動。ここでは他馬との力の違いを見せつけ、2着に3馬身差を付ける楽勝を飾る。
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