数少ないチャンスをものにする集中力は渋野の武器ともいえるが、その陰には想像を絶するような練習量をこなしてきた。1年半前から渋野のコーチを務める青木翔氏によれば、当初はサンドウェッジで1日600~700球を打っていたという。
ボールをとらえる感覚や正しいスイングを身につけることが狙いだろうが、地道な練習を必死で繰り返してきたからこそ、圧倒的なショット力が短期間で身についたのだろう。AIG全英女子オープンに出場する前、「以前と比べれば、アイアンショットの精度やアプローチ、パットといったショートゲームの精度は上がってきていると思いますが、まだまだ伸びしろがあると思うのでもっと頑張りたいです」と語っていた渋野だが、努力が実り始めている手応えを感じていたのかもしれない。
後半戦に入り、渋野はデサントレディース東海クラシックで8打差を逆転しての優勝を飾り、大王製紙エリエールレディスオープンでは、前週の大会で予選落ちしたにもかかわらず、逆転優勝している。前半戦同様、窮地に追い込まれるときほど実力を発揮できる稀有なタイプであることを改めて証明した。
男女に関係なく、経験が重視されるゴルフの世界において、新人がそう簡単に賞金ランキングの上位に顔を出すことは考えにくかった。ましてや、海外メジャーでは経験豊富なベテラン選手でも優勝には手が届かなかったのだ。
21歳の渋野は、賞金女王のタイトルこそ奪えなかったものの、賞金ランキング2位に入り、海外メジャーも制した。おそらく、今後は自分もやればできると考える若手がどんどん出てくるだろう。
特に、渋野と同じ98年度生まれの世代は黄金世代と呼ばれ、来季のシード選手50人中11人がその世代である。彼女たちにしてみれば、渋野に負けたくない気持ちは相当強い。さらに、リコーカップの最終日に渋野と回り、2位タイとなった2学年下の古江彩佳の世代はプラチナ世代と呼ばれており、将来有望な選手が数多くいる。第二、第三の渋野を虎視眈々と狙っているのは間違いない。
来年からは追う立場から追われる立場になる渋野。本人にしてみれば、海外メジャーを制覇したとはいえ、まだまだ発展途上にあると考えているだけに、手綱を緩める気は一切ないだろう。
しかし、さらなる上の結果を残していくためには、やはりショートゲームの上達が課題となる。このオフにどこまで精度を上げるかが勝負となるのは言うまでもない。また、来年は海外のトーナメントに出場する機会も増えてくる。長時間の移動で体調をどこまでキープできるのかも課題だ。どちらにせよ、来季も渋野中心の戦いになる国内女子ツアー。今まで以上に注目度が高まることだけは確かだ。
文●山西英希
【著者プロフィール】
平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
【シブコPHOTO】笑顔弾ける渋野日向子の厳選ショット!プロテスト時の貴重な一枚も
ボールをとらえる感覚や正しいスイングを身につけることが狙いだろうが、地道な練習を必死で繰り返してきたからこそ、圧倒的なショット力が短期間で身についたのだろう。AIG全英女子オープンに出場する前、「以前と比べれば、アイアンショットの精度やアプローチ、パットといったショートゲームの精度は上がってきていると思いますが、まだまだ伸びしろがあると思うのでもっと頑張りたいです」と語っていた渋野だが、努力が実り始めている手応えを感じていたのかもしれない。
後半戦に入り、渋野はデサントレディース東海クラシックで8打差を逆転しての優勝を飾り、大王製紙エリエールレディスオープンでは、前週の大会で予選落ちしたにもかかわらず、逆転優勝している。前半戦同様、窮地に追い込まれるときほど実力を発揮できる稀有なタイプであることを改めて証明した。
男女に関係なく、経験が重視されるゴルフの世界において、新人がそう簡単に賞金ランキングの上位に顔を出すことは考えにくかった。ましてや、海外メジャーでは経験豊富なベテラン選手でも優勝には手が届かなかったのだ。
21歳の渋野は、賞金女王のタイトルこそ奪えなかったものの、賞金ランキング2位に入り、海外メジャーも制した。おそらく、今後は自分もやればできると考える若手がどんどん出てくるだろう。
特に、渋野と同じ98年度生まれの世代は黄金世代と呼ばれ、来季のシード選手50人中11人がその世代である。彼女たちにしてみれば、渋野に負けたくない気持ちは相当強い。さらに、リコーカップの最終日に渋野と回り、2位タイとなった2学年下の古江彩佳の世代はプラチナ世代と呼ばれており、将来有望な選手が数多くいる。第二、第三の渋野を虎視眈々と狙っているのは間違いない。
来年からは追う立場から追われる立場になる渋野。本人にしてみれば、海外メジャーを制覇したとはいえ、まだまだ発展途上にあると考えているだけに、手綱を緩める気は一切ないだろう。
しかし、さらなる上の結果を残していくためには、やはりショートゲームの上達が課題となる。このオフにどこまで精度を上げるかが勝負となるのは言うまでもない。また、来年は海外のトーナメントに出場する機会も増えてくる。長時間の移動で体調をどこまでキープできるのかも課題だ。どちらにせよ、来季も渋野中心の戦いになる国内女子ツアー。今まで以上に注目度が高まることだけは確かだ。
文●山西英希
【著者プロフィール】
平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
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