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バレーボール

【女子バレー】31歳で日本代表に“異例”の初選出! ひた向きな努力で“憧れの舞台”を手繰り寄せた青柳京古「夢じゃないんですか」

北野正樹

2023.05.13

遅咲きの青柳。22/23シーズンはアタック決定率で43.9%だった。選手写真提供:埼玉上尾メディックス

遅咲きの青柳。22/23シーズンはアタック決定率で43.9%だった。選手写真提供:埼玉上尾メディックス

 日本代表と五輪出場、メダル獲得を意識したのは、高校1年の夏。同じように背の高い同級生の箱山愛香さんの存在。放課後、毎日23時頃までプールで過ごす同級生が、アーティスティックスイミングで五輪を目指していると知った時からだ。

「自宅に遊びに行くと、メダルやトロフィーがたくさんあって、『私も五輪目指す。一緒にメダルをとろう』と約束しました」と青柳。

 箱山さんは2012年のロンドン五輪に出場し、チームで5位入賞。2016年のリオ五輪ではチームで銅メダルに輝いた。

 一方、青柳は愛知学院大時代に、2012年の東アジア地区女子選手権(北京)のメンバー12人に選ばれたこともあるが、全国的にはほぼ無名の選手。4年時に、本格的にアウトサイドヒッター(OH)からミドルブロッカー(MB)に転向した。

「高校時代にMBの経験があり、ワイド攻撃が出来ていたので、将来を考えて転向をアドバイスしました。本人も『Vリーグでプレーしたい』と、高いレベルで競技を続けていく意識が高く、真面目に練習に取り組んでいましたね」というのは、4年次の1年間、指導にあたった2010年アジア大会女子代表監督で、元トヨタ車体監督の谷口幸雄さんだ。

 チャレンジリーグ(現V2)の上尾メディックスに入団後は、内定選手として出場したチャレンジマッチ第2戦で11得点を挙げ、V・プレミアリーグ(現V1)昇格に貢献したが、代表への道は遠かった。

 スピードがあり、キレのよいクイックに幅広い攻撃、高い打点からのアタックが魅力。21/22年シーズンは、33試合に出場し、リーグ11位、日本人選手として4位のアタック決定率43.1%の好成績を残し、代表候補入りに近付いたが、吉報は届かなかった。

「実力がないから選ばれなかったのです。ボールを強く叩くのが得意ですが、アタックのミスを少なくするためにはブロックの上からコースを狙って打つ技術も必要だし、サイドの選手との息を合わせることも大事です。何が足りないのか、埋めていく作業を続けました」

 落ち込んだが、現実を受け入れるのに時間はかからなかった。大久保監督からは「いつも思うようなトスが上がってくるわけではない。ここに上がれば自分は決めることが出来ると考えるのではなく、どんなトスに対しても準備をどれだけ出来るか。近いトスや低いトスでも、チームとして有利に展開することが出来るように、粘り強くやっていこう」とアドバイスを受けた。
 
 結果、22/23シーズンはアタック決定率で43.9%と自己記録を更新し、チームのレギュラーラウンド2位に貢献。3月27日にJVAが発表した2023年度女子日本代表チームの登録メンバーに初めて、名前を連ねた。

 登録選手40人のうち、初選出はロンドン五輪銅メダル獲得に貢献した大友愛さんの長女、秋本美空(16歳、共栄学園高校1年)ら12人。青柳と27歳のリベロ目黒優佳(JT)を除くと、23歳が最年長。30歳を超えて初めて選出されるのは珍しいことだ。

 中村貴司・JVA女子強化委員長は「日本人選手としては大型MBでありポテンシャルも高く、努力して花が咲いた選手。22/23シーズンの埼玉上尾メディックスの躍進に貢献した選手として、眞鍋さん(政義女子代表監督)もプレーを見たかったのだと思います」と選考理由を語る。
 
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