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食と体調管理

「苦しかったことが今の自分の武器に」平泳ぎ・金藤理絵が挫折を乗り越えて掴んだ金メダルと日々を支えた食生活

矢内由美子

2023.07.03

写真:GettyImages

写真:GettyImages

■不安を一緒に抱えて泳ごうと覚悟したリオデジャネイロオリンピック

――葛藤を乗り越えて、2大会ぶりのオリンピック出場となったリオデジャネイロオリンピック。あの大舞台で金メダルを獲った時は、水泳を辞めなくて良かったと思ったのではないでしょうか?

 はい。リオオリンピックの後もそう思いましたが、リオオリンピックの半年前の2016年2月に出場したオーストラリアの試合で6年半ぶりにベストが出たときの方が「辞めなくてよかった!」という思いが強かったかもしれないです。

 そのおかげで2009年の夏に出した自己ベストを6年半ぶりに更新できて、あのときは心から嬉しかったですね。レースに向けた調整をせずにベストタイムを出せたのも自信になりました。

――金メダルに輝いたリオデジャネイロオリンピックを振り返っていただけますか。

 実は予選と準決勝はあまり良いイメージで泳ぐことができなかったんです。決勝もベストの状態ではなく、アップをしていても何かうまくいかないといった状態でした。

 でも、それまでの世界大会ではそこでさらに自分の粗探しをしてダメになっていったのですが、リオの時は「ここまできたら細かいことを考えても仕方がないな」と思って、「泳ぐしかない」と気持ちを切り替えることができました。そこがこれまでの世界大会と違ったところでした。

 決勝のレース前は、不安はあるけど、どうやって不安を解決していくかというよりも、不安も一緒に抱えて泳ごうという心境になっていました。
 
――その結果、金メダルを獲得。表彰台の真ん中の光景はいかがでしたか。

 世界大会で表彰台に上がった経験がほぼなかったので、表彰台の、しかも一番上に乗るというのはこういう感じなんだとしみじみ思いました。

 2位と3位の選手の国の観客以外はみんな1位になった私を見ているのが分かって、すごく注目されているという恥ずかしさがありました。「君が代」が流れた時は泣かなかったのですが、表彰式の後にプールサイドを歩いていると日本チームのみんなが「おめでとう」と言ってくれているのを見て、涙が溢れてきましたね。

――ラストレースは2016年10月に日本で開催されたワールドカップ。それから1年半ほど後の2018年3月に、引退会見を開きました。

 引退会見までの間、いろいろな方からどうするのですかと質問されて、それをのらりくらりかわしていた時期があったのですが、きちんと皆さんに自分の気持ちを伝えていかないといけないという気持ちが固まり、会見を開きました。

 会見では、引退を宣言できる安堵感と、引退に至った経緯などはちんとお話ししないといけないという責任感もあったと思います。
 

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