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食と体調管理

「苦しかったことが今の自分の武器に」平泳ぎ・金藤理絵が挫折を乗り越えて掴んだ金メダルと日々を支えた食生活

矢内由美子

2023.07.03

写真:株式会社アミューズ

写真:株式会社アミューズ

■栄養は食事で摂るという意識

――ここからは食生活についてお尋ねします。子供の頃はどんな食生活でしたか?

 高校までは自宅だったので、食事は母が作ってくれていましたが、好き嫌いが多い方だったので、母は苦労したと思います。

 自然豊かな所で生まれ育って、採ってきたフキノトウなどの山菜やつくしでお味噌汁や佃煮を作るような家庭だったのですが、私はほぼ食べず、親泣かせでしたね。実はきのこも椎茸だけ苦手で、母はいつも頑張って刻んで料理に入れてくれていました。

 子供の頃の食生活で良かったなと思うのは、小学校から帰ってきた時のおやつが、焼き芋だったり、煮干しだったりで、お菓子ではなかったことです。親からは好き嫌いをしないようにと言われるのはもちろんでしたが、よく噛むように言われていました。

――スイミングクラブでの練習後はどのような食事でしたか。

 帰宅後に母が夕食を作ってくれるので、練習終わりから夕食まで時間があったので迎えに来てもらった車でおやつのような感覚でおにぎりを食べていました。運動をしたらすぐにエネルギーを摂った方が良いと聞いていたこともあって意識していました。帰宅後もしっかりと夕食をとっていました。

 普段から母は時間をやりくりしながら食事をつくってくれていましたし、体育教師である父が栄養に関する情報を仕入れてきて母がそれを実践するという感じでした。

 高校生の頃は「ジュニアプロテイン」を飲むこともありましたが、やはり基本は食事から摂るという意識が強かったと思います。

――大学生になって実家を離れた後の食事面は、どのようにしていたのでしょうか。

 大学に入る時に東海大学を選んだ理由のひとつが、学食でアスリート用の食事を出していただけることでした。一人暮らしだと食事の面で偏りが出てしまったり、外食が多くなったりしてしまうというデメリットがあるので、競技に集中しやすい環境だったと思います。

――海外遠征の時には苦労もあったのではないでしょうか。

 海外での大会のときには、コーチや栄養士の方がホテル側と相談して食事を準備していただいたり、海外合宿の時はもちろん、普段の生活から自分が食べたものを写真に撮って栄養士の方に送ってアドバイスをいただいていました。

 大学生になってからは自然と好き嫌いが少なくなったのですが、母親だったら文句を言えるけど、外だと言えないから、という理由も大きかったかもしれません。
 
――きのこを食べる機会は多いですか。

 引退して子どもができた後のことなのですが、3歳になった私の子どもがきのこ大好きなので、お味噌汁の具にしたり野菜炒めに入れたりして、現役の時よりも食べる量が増えているんです。

 きのこはすごく栄養がありますし、食物繊維が豊富。冷凍すると保存がきくのも嬉しいですね。食べると体に良いということは、現役時代よりむしろ今の方が知識として持っているかなと思っています。

――きのこを使った料理はどのようなものをつくりますか。

 3歳の娘が特にマイタケが好きなので、どんな調理方法が良いか、私もいろいろ調べています。マイタケ以外にもシメジやエノキも好きで、料理方法としてはお味噌汁に入れるのが一番多いです。

 栄養バランスも良いですし、切って煮るだけでいいので、手軽さもあります。ゆでると栄養が出てしまいますが、お味噌汁ならその心配もありません。

――きのこが腸内環境の改善に良いことは知っていましたか。

 大学進学以降、毎年1回栄養士の講習を受けていたので知っていました。その知識があったので現役時代も便秘をすることがなかったですね。

――ジュニアアスリートへ食事のアドバイスをお願いします。

 ジュニアの選手の子どもたちには、まずは食事からきちんと栄養をとろうね、ということを一番に言いたいですね。私の子ども時代に比べると情報は多いですし、すごく真剣に取り組んでいる親御さんが多いと思うのですが、情報があるからこそ、サプリメントについて聞かれることが多いです。

 でも、中学生くらいまでは食事メインが一番いいのかな、と思います。食事から栄養をしっかりと摂取する生活をすることで、海外に行ったときでも何でも食べられるとか、大きな大会のときでも何でも食べられるようになると思います。そういう理由もあって、小さい子どもには「嫌いでもいいから一口食べようね」ということを伝えています。
 

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