ピンチもあった。
就任3か月後に発覚した、大阪府バレーボール協会(OVA)の理事による協会資金約2600万円着服問題。公表を渋るOVA幹部に記者会見を開いて公表するよう促し、自ら記者会見に出席し不祥事を謝罪した。
バレーの信頼回復を図る中での不祥事だったが、毅然とした態度で公表に臨み「泥棒は警察に捕まえてもらわないといけない」と、刑事告発も指導する姿は、逆にバレー界への信頼を得る結果となった。
さらには、OVAの不祥事を契機に、各都道府県協会に法人化を指導し透明性のある組織への改革も一気に進めた。暴力撤廃アクションを発表した直後には、JVAの男子強化委員を務めている大学監督による、暴力疑惑が発覚。暴力問題には「たとえ恩師や先輩であっても、隠蔽はしません」と強い姿勢で臨むことを宣言し、JVAコンプライアンス委員会を通じて徹底解明に当たっている。
「隠ぺい問題で辞めた会長の組織を継ぐのだから、問題があっても隠すことはしません」という川合会長の支えは、ビーチバレー部GMとして務めるトヨタ自動車で学んだ「トヨタイズム」だ。
「逃げない」「嘘をつかない」「ごまかさない」は、リコール問題で米下院での公聴会に臨んだ際の、豊田章男社長(現会長)の言葉だが、ピンチを迎えた時の川合会長の対処法は、まさにその姿勢を貫いている。
「トヨタでは、どのようなトラブルでも全員に情報を共有しています。会長就任時に、豊田会長に『トヨタイズムをスポーツ競技団体に落とし込み、どのような変化をするか確かめます』と約束しました。逃げない、嘘をつかない、ごまかさないは、私の協会運営の基本です」と川合会長。
バレーボール宣言や暴力撤廃アクション、各都道府県協会の法人化など大きな指針を示したが、それらを組織の末端まで落とし込むにはまだまだ時間がかかる。
また、OVAの不祥事では、JVAが指揮・命令する権限や強制力を持たないため、指導にとどまざるを得なかった。このため、OVAが当時の会長、理事長の続投を決めようとした際は、透明性のある組織として再出発が期待出来ないなどとして、主要大会の大阪での開催中止などを模索するしか方法がなかった。今後、加盟団体や各都道府県に対して指導・命令出来るように規程を改定することも必要だ。
理事会、事務局改革も緒に就いたばかり。
JVAは22年10月に「役員会選定規程」を新設。改選にあたり、選定された次期会長候補も加わり理事候補を選ぶ方式に変更した。今回の改選では、松下敬副会長(出光興産顧問)が「会長が就任時に掲げた3つの柱を実現するために理事を選考した」というように、FIVBに顔が利く内藤理事を始め会長の経営方針や組織体制の意向に沿った理事で新しい理事会が構成された。
理事候補についても、経験や得意な分野、実績などを評価して選任し、これまで2人だった副会長も須藤実和(プラネットプラン代表)、金川裕一(エル・ティー・エス会長)両氏を含めた3人制を取った。「現在進めているプロジェクトに理事として参画していただいていますが、頼りになる方々ですのでさらに責任感を持って協会運営にあたっていただきたいと考えました」と、体制強化の狙いを説明した。
先送りされた問題もある。協会事務局職員が理事を兼務している点だ。理事は、協会運営のチェックも大きな仕事であるため、理事と事務局職員では利益相反するという指摘が強い。早急な改革は混乱を招くという配慮もあったのだろう。2年後の次回改選時には、兼務は解消される見込みで一歩前進した点は評価できる。
就任3か月後に発覚した、大阪府バレーボール協会(OVA)の理事による協会資金約2600万円着服問題。公表を渋るOVA幹部に記者会見を開いて公表するよう促し、自ら記者会見に出席し不祥事を謝罪した。
バレーの信頼回復を図る中での不祥事だったが、毅然とした態度で公表に臨み「泥棒は警察に捕まえてもらわないといけない」と、刑事告発も指導する姿は、逆にバレー界への信頼を得る結果となった。
さらには、OVAの不祥事を契機に、各都道府県協会に法人化を指導し透明性のある組織への改革も一気に進めた。暴力撤廃アクションを発表した直後には、JVAの男子強化委員を務めている大学監督による、暴力疑惑が発覚。暴力問題には「たとえ恩師や先輩であっても、隠蔽はしません」と強い姿勢で臨むことを宣言し、JVAコンプライアンス委員会を通じて徹底解明に当たっている。
「隠ぺい問題で辞めた会長の組織を継ぐのだから、問題があっても隠すことはしません」という川合会長の支えは、ビーチバレー部GMとして務めるトヨタ自動車で学んだ「トヨタイズム」だ。
「逃げない」「嘘をつかない」「ごまかさない」は、リコール問題で米下院での公聴会に臨んだ際の、豊田章男社長(現会長)の言葉だが、ピンチを迎えた時の川合会長の対処法は、まさにその姿勢を貫いている。
「トヨタでは、どのようなトラブルでも全員に情報を共有しています。会長就任時に、豊田会長に『トヨタイズムをスポーツ競技団体に落とし込み、どのような変化をするか確かめます』と約束しました。逃げない、嘘をつかない、ごまかさないは、私の協会運営の基本です」と川合会長。
バレーボール宣言や暴力撤廃アクション、各都道府県協会の法人化など大きな指針を示したが、それらを組織の末端まで落とし込むにはまだまだ時間がかかる。
また、OVAの不祥事では、JVAが指揮・命令する権限や強制力を持たないため、指導にとどまざるを得なかった。このため、OVAが当時の会長、理事長の続投を決めようとした際は、透明性のある組織として再出発が期待出来ないなどとして、主要大会の大阪での開催中止などを模索するしか方法がなかった。今後、加盟団体や各都道府県に対して指導・命令出来るように規程を改定することも必要だ。
理事会、事務局改革も緒に就いたばかり。
JVAは22年10月に「役員会選定規程」を新設。改選にあたり、選定された次期会長候補も加わり理事候補を選ぶ方式に変更した。今回の改選では、松下敬副会長(出光興産顧問)が「会長が就任時に掲げた3つの柱を実現するために理事を選考した」というように、FIVBに顔が利く内藤理事を始め会長の経営方針や組織体制の意向に沿った理事で新しい理事会が構成された。
理事候補についても、経験や得意な分野、実績などを評価して選任し、これまで2人だった副会長も須藤実和(プラネットプラン代表)、金川裕一(エル・ティー・エス会長)両氏を含めた3人制を取った。「現在進めているプロジェクトに理事として参画していただいていますが、頼りになる方々ですのでさらに責任感を持って協会運営にあたっていただきたいと考えました」と、体制強化の狙いを説明した。
先送りされた問題もある。協会事務局職員が理事を兼務している点だ。理事は、協会運営のチェックも大きな仕事であるため、理事と事務局職員では利益相反するという指摘が強い。早急な改革は混乱を招くという配慮もあったのだろう。2年後の次回改選時には、兼務は解消される見込みで一歩前進した点は評価できる。