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ラグビー

「1年かけてやってきた」大一番イングランド戦へ、昨年の敗戦を糧にできるか? リーチ、堀江、松島が語る勝負のカギ【ラグビーW杯】

向風見也

2023.09.17

 確かに日本代表は、現体制の発足から約8年の間、自前の攻撃陣形を適宜、微修正をかけている。

「9番からのシェイプ」にあたる接点周りの突進役を3名から4名に変えたり、その4名の塊をあえて司令塔のスタンドオフの後方に並べたりと、戦術上の工夫を施してきた。
 
 フランス入り後は、1勝5敗に終わった事前試合の時期にはない動きも導入。「9番からのシェイプ」の面々のパスの精度も、試合を追うごとに高まっている。

 イングランド代表の強烈なタックルをぎりぎりのところでかわし、勢いを加速させるシーンを作れると、リーチは自信をにじませる。

 堀江もこうだ。

「自信を持って自分たちの持っているものを出せれば、いけるかなと思います。自分でキャリー(突進)するとか、スペースを使うかの判断も大切になる。そこ(防御の壁)をうまくずらせれば、いい風に事は進むと思いますね」

 イングランド代表の脅威となるスクラムへは、長谷川慎アシスタントコーチが力を込める。

「入り(序盤)から日本代表のスクラムを組めるよう、(敗戦から)1年間かけてやってきた」

 遠い間合いで組みたがる相手の傾向、担当レフリーの特徴、さらには、事前にリーチが「フランスに来てから一番いい」と思えたグラウンドの芝の状態を踏まえ、当日の「入り」にもっとも「日本代表のスクラム」を組みやすくする。

「相手がどうプレッシャーをかけるかはわかっている。そこで待つんじゃなくてつぶしに行けば、逆に相手にプレッシャーがかかる。やられる前にやる。そのメンタリティで練習し、試合で、一発目から行く」

 相手が数多く用いるハイボール(高い弾道のキック)での空中戦へも、捕球を任されるウイングに先発の松島幸太朗はこう構える。

「どの試合でも、ハイボールは大事な部分。いつも通りです。(今回は)いつもよりかは蹴ってくる回数は多くなると思うので、より集中して、周りの選手(捕球役を守る味方)がいるのを信じ、あとは、ボールを獲りに行くだけです」

 信じた道を突き進むことと、難敵の強みを最小化することを地続きで捉える。その流れで白星を掴む。

取材・文●向風見也
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