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ラグビー

成功率94%のキックだけじゃない! アルゼンチン戦のキーマン松田力也は司令塔としていかなるゲームプランを描いているのか?【ラグビーW杯】

THE DIGEST編集部

2023.10.08

キャッチやパスのスキルにも優れる松田。ハイレベルな技術を最適に使い分けられるのが強みだ。(C) Getty Images

キャッチやパスのスキルにも優れる松田。ハイレベルな技術を最適に使い分けられるのが強みだ。(C) Getty Images

 まず、スクラムハーフの齋藤直人からのパスをもらう際、いったん右方向へ弧を描き、最後は直進するコースを取り捕球。ゴールラインに一直線に向かうことで、日本代表から見て右側に立つタックラーも松田に気を取られた。

 ここから球を投げる瞬間も、松田は走るコースを変えずに件の防御役をぎりぎりまで引き寄せた。その相手に自らの胸、腹、つま先の一部といった、身体の前側を見せるようにしていた。手先と、視線だけを右に向けてボールをさばいた。

 
 その折、身体の前側まで投げる方向へ傾けてしまえば、守備側はパスを読んで受け手に圧をかけやすくなるだろう。しかし松田は、走りの鋭さ、身体の使い方の妙で、右側にスペースを作った。

 この手の効果的なパスを、松田は圧力下でも自然と繰り出せる。相手との体格差がさほどない国内リーグの頃から、常々、意識しているからだろう。

「僕がどれだけ(相手と)接近するか、です。そうすると(相手のタックラーに)狙われるんですけど、そこで恐れずにコミットし、外にパスをする。もちろん、(目の前が)空いたら自分で行きます」

 以後、受け手となったセンターのディラン・ライリーも松田と似たイメージで投げた。

 おかげで、端側に立つフルバックのレメキ ロマノ ラヴァはディフェンダーと正対せずに加速できた。中盤から22メートルエリアまで割って入り、攻めのテンポを生んだ。

 ここから左へ、左へとつないだ日本代表は、松田のラストパスでフィニッシュ。左隅でフリーになっていた、フランカーのリーチ マイケルがトライを決めた。直後のゴールも松田が決め、17-3とリードを広げた。

 かようなパスに加えて多彩なキックも繰り出せて、信頼する佐藤義人トレーナーとの鍛錬により突破力も磨いた。いわば味方を助ける技術を複数有するのだが、真骨頂はそのスキルを最適に使い分けられる点だ。

 その資質を覗かせたのは、18日のイングランド代表戦だ。
 
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