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ラグビー

「皆、気づいてるんじゃないですか」37歳、堀江翔太がW杯で実感した日本ラグビーの現在地。敗因は組織力ではなく――

向風見也

2023.12.02

12月9日に開幕するリーグワン。堀江が所属する埼玉パナソニックワイルドナイツは王座奪還を目指す。(C) Getty Images

12月9日に開幕するリーグワン。堀江が所属する埼玉パナソニックワイルドナイツは王座奪還を目指す。(C) Getty Images

 これからは個々のスタンダードを引き上げなくては――。堀江が世界でそう実感したことは、過去にもあった。

 2011年のニュージーランド大会に初めて出て、未勝利だった時だ。翌年、堀江はニュージーランドに渡り、13年にはオーストラリアのレベルズとサインした。単身でスーパーラグビーに挑んだ。だからこれから「個」を鍛えるべき若者たちへ、堀江はこう訴える。

「個人的には、(海外に)行った方がいいとは思います」
 
 話す流れで「いくら僕が言っても、というところはある。僕も誰かに言われて行ったわけじゃないんで」「何が正解かはわからないですけど」と挟みながら、厳しい環境に身を置くべきだと強調する。

 外へ出ると、身体、技術以外の側面でも成長が期待できるという。

「自チームにいると、例えばパナソニック(堀江の所属先である埼玉パナソニックワイルドナイツ)なら、パナソニックのラグビーしか知らなくなっちゃう。そうなると、自分のプレーの幅が狭くなるんです。僕は色んなチームに行ってきたから、その数だけの、色んなラグビーの戦術、戦略を知って、それがプレーの幅にもなって、(試合中に)焦りがなくなります」

 何もその国のトップクラブと契約するだけが、海外挑戦ではない。もし思いがあり、状況が許されているなら、ハングリー精神のるつぼと化す各国地域リーグへのチャレンジでもよいと堀江は言う。

「僕はレベルズにいましたけど、(スーパーラグビーの)試合に出られない時は(若手や控え組に与えられた)クラブレベルの試合にも出た。ここではレベルズともラグビー(スタイル)、レベルも違っていて、でもフィジカルは高かった。そこで目立つにはどうしたらいいかと、頭を使うようにはなりました」

 実際には、日本代表になりそうな選手のほとんどはこの国に残っている。今年12月9日からの国内リーグワンを見据える。各チームがワールドクラスの大物を獲得するなか、上位4強はニュージーランドのクラブとの交流戦にも臨む。

 堀江は、リーグワンとの向き合い方についても語る。

「誰が見てもいい選手だとわかる選手にならないとだめです。色んな選手を見て、(自分の)足りひんことに気づいて、さらに成長してほしい」

 今後の代表活動への意欲は「フラット」だと話す37歳の堀江もまた、日本で高みを目指す。

 信頼する佐藤義人トレーナーと「体重を絞ってフィジカルが上がるかどうかという実験」をすべく、あえて「107キロ」から「104~5くらい」に減量した。

 帰国からワイルドナイツ合流までの間は、京都府内にある「10度の坂」を駆け上がるトレーニングに注力。なぜ、「10度」なのか…。

「5度とか、逆に行き過ぎて12度となると、効くところに効かなくなるんです。10度の坂がよくて。10度というのが、ハム(ストリング)とケツにめっちゃ効くんです」

 向上心を抱いて転戦また転戦の末、幅広い選択肢から自身に適した鍛え方を選び取っているのが伝わる。

 定評のあるパス、キック、ランのうまさにも、さらに磨きをかける。自分が他の何者でもない「誰が見てもいい選手だとわかる選手」であると、この季節も証明する。

取材・文●向風見也
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