会場のアナウンスが、「8番・本田真凜さん。JAL」とコールされた時には、無数の応援バナーが揺れて本田を後押し。加えて、「ガンバー!!」「真凜ちゃん!」という声援が無機質なアイスリンクを温かく包み込んだ。
だが現実は残酷で、彼女本来のトップパフォーマンスとは程遠い出来だった。冒頭の3回転サルコウはアンダーローテーション(回転不足)がつき、2つ目の3回転+2回転の連続トウループはひとつ目のジャンプが4分の1回転不足を示す「q」マークがついた。3つ目のダブルアクセルはダウングレード(2分の1以上の回転不足)と判定され、大きなマイナスとジャッジされた。
無論、得点が伸び悩んだことは想像に難くない。44.42点は、この時点で「最下位」を意味する8位。結果、大学ラストの全日本は参加した28人のなか一番下で終戦。24日のフリー進出は叶わなかったが、「自分でここまで頑張って来て勝ち取った全日本なので。自分の頑張りも認めた上で、この状態の中でも思い切って攻める演技ができたかな」と満足した表情で振り返った。
演技直後は万感の思いがこみ上げたのか、右手で氷に触れる場面も。「本当に、自分に『ありがとう』という気持ちと、本当に(直前の)6分間の時から沢山の方が自分のバナーだったり、『真凜ちゃん頑張れ!』って、たくさん言ってくださっているのが聞こえてきて。数年前の自分では、こんなにたくさん応援してくださっている方がいるんだっていうことを、気付けていなかった部分もありましたし。すごく勇気を持って最後まで戦えたかなと思います」と会場の応援に感謝を口にした。
さらに、「私のことを知らない人だったりとか、いろんな人に何を言われようと、自分を応援してくださってる方に思いを込めて、今日全力で演技ができた」と述べ、いま出せる最高の演技だったことを強調した。
「本当に今回はギリギリまで、ダブル(2回転)でやるべきかとか、ジャンプとかスピンとかも厳しい状態で。ただ後悔がないように、本当に自分ができることを少しずつ状態が良くなるように頑張ってきました。トリプル(3回転)で勇気を持って、フィギュアスケーターとして、競技者として戦い切れたことをすごく誇りに思います」
国内最高峰の舞台で、2分50秒を全力で戦い抜いた本田。「2歳の時からスケートを始めて、もうベテランと言っていいくらいのスケートの年齢」と茶目っ気たっぷりに振り返りながら、今後の進路について問われると「話せることは、今はまだない」と明言を避けたうえで、スッキリした心情を語る。
「ここまで頑張れた自分に言いたいこともないですし、悔いっていうのも何ひとつないので。ここまでたくさんたくさんスケートを頑張ってきましたし、その自分を今はゆっくり褒めてあげたいなという気持ちです」
今後も競技者として表舞台に立つのか。誰もが気になるところだが、「競技者として大会に出場してる自分というのが一番輝いてる場所かなと感じているんですけど、まったく点数にもとらわれずに、自由にノビノビお客さんに楽しんでもらえるように滑っている自分も好きなので」とも話し、プロスケーターとしてアイスショー出演など、あらゆる可能性を模索しているようだ。
「スケートをしていたからこそ、幸せなこともたくさんありました。逆に今回もそうですけど、苦しいことがあったりとか、いろいろありましたけど、本当にスケートがあったからこそ自分があると思います。皆さんにも出会えたと思いますし、すごい嬉しいです」
愛嬌ある笑顔を振りまき、天真爛漫に氷上を舞う彼女は、どんな決断を下すのか。いずれにせよ、フィギュアスケーター・本田真凜はアイスリンクが最も輝く舞台だ。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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無論、得点が伸び悩んだことは想像に難くない。44.42点は、この時点で「最下位」を意味する8位。結果、大学ラストの全日本は参加した28人のなか一番下で終戦。24日のフリー進出は叶わなかったが、「自分でここまで頑張って来て勝ち取った全日本なので。自分の頑張りも認めた上で、この状態の中でも思い切って攻める演技ができたかな」と満足した表情で振り返った。
演技直後は万感の思いがこみ上げたのか、右手で氷に触れる場面も。「本当に、自分に『ありがとう』という気持ちと、本当に(直前の)6分間の時から沢山の方が自分のバナーだったり、『真凜ちゃん頑張れ!』って、たくさん言ってくださっているのが聞こえてきて。数年前の自分では、こんなにたくさん応援してくださっている方がいるんだっていうことを、気付けていなかった部分もありましたし。すごく勇気を持って最後まで戦えたかなと思います」と会場の応援に感謝を口にした。
さらに、「私のことを知らない人だったりとか、いろんな人に何を言われようと、自分を応援してくださってる方に思いを込めて、今日全力で演技ができた」と述べ、いま出せる最高の演技だったことを強調した。
「本当に今回はギリギリまで、ダブル(2回転)でやるべきかとか、ジャンプとかスピンとかも厳しい状態で。ただ後悔がないように、本当に自分ができることを少しずつ状態が良くなるように頑張ってきました。トリプル(3回転)で勇気を持って、フィギュアスケーターとして、競技者として戦い切れたことをすごく誇りに思います」
国内最高峰の舞台で、2分50秒を全力で戦い抜いた本田。「2歳の時からスケートを始めて、もうベテランと言っていいくらいのスケートの年齢」と茶目っ気たっぷりに振り返りながら、今後の進路について問われると「話せることは、今はまだない」と明言を避けたうえで、スッキリした心情を語る。
「ここまで頑張れた自分に言いたいこともないですし、悔いっていうのも何ひとつないので。ここまでたくさんたくさんスケートを頑張ってきましたし、その自分を今はゆっくり褒めてあげたいなという気持ちです」
今後も競技者として表舞台に立つのか。誰もが気になるところだが、「競技者として大会に出場してる自分というのが一番輝いてる場所かなと感じているんですけど、まったく点数にもとらわれずに、自由にノビノビお客さんに楽しんでもらえるように滑っている自分も好きなので」とも話し、プロスケーターとしてアイスショー出演など、あらゆる可能性を模索しているようだ。
「スケートをしていたからこそ、幸せなこともたくさんありました。逆に今回もそうですけど、苦しいことがあったりとか、いろいろありましたけど、本当にスケートがあったからこそ自分があると思います。皆さんにも出会えたと思いますし、すごい嬉しいです」
愛嬌ある笑顔を振りまき、天真爛漫に氷上を舞う彼女は、どんな決断を下すのか。いずれにせよ、フィギュアスケーター・本田真凜はアイスリンクが最も輝く舞台だ。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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