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サウジ遠征で有力馬が軒並み不在。史上空前の混戦となる古馬ダート王決定戦は”低評価すぎる”キングズソードに妙味【フェブラリーS】

三好達彦

2024.02.17

 まずは近走で良績を残している馬たちが上位人気を占めているわけで、この評価は順当なものと言えるだろう。しかし、やはりオメガギネスにはGⅠ初挑戦という壁が気になる。またウィルソンテソーロは脚質に自在性があるのが強みだが、今回はここ2戦で好騎乗を見せていた原優介から松山弘平への乗り替わりという選択が必ずしもプラスに働かないのではないかという疑問が残る。3番人気のドゥラエレーデは、直近のGⅠ2レースがともに3着という詰めの甘さがどうしても目に付いてしまう。

 そこで本稿では、先に挙げた人気の3頭を「相手」に回し、実績に比べて評価が低すぎると感じるキングズソード(牡5歳/栗東・寺島良厩舎)を主軸または連軸としてピックアップしてみたい。

 キングズソードは前述した時点でのオッズは11.6倍の5番人気。昨年のJBCクラシック(JpnⅠ、大井・ダート2000m)では2着に4馬身(0秒9)もの差を付けて豪快に突き抜けたのは、いまも記憶に新しい。マイル戦は意外にも今回が初めてとなるが、1700~1800mで6勝を挙げているし、そこから100~200mの距離短縮に対応できないことはないだろう。

 また、5着に敗れた前走の東京大賞典については寺島調教師が、「世界で通用する馬とは差があったかな」と、現時点でウシュバテソーロとの力差は認めているものの、「精神面がっしりして、体もひと回り、ふた回りも充実しています。まだ上積みの余地があると思っていますし、前走で負けた馬(2着のウィルソンテソーロ、3着のドゥラエレーデ)には、立ち回りひとつで詰められると捉えています」とコメントし、「マイルくらいの距離はこの馬に合っていると思います」と、初タイトル奪取に向けて力強く締めくくっている。

 調教も1週前は重めを感じさせるものだったが、今週の追い切りではフットワークに切れが出て、明らかに状態は上向いている。人気馬の陰に隠れた実績馬の大駆けに期待を寄せたいところだ。
 
 相手には前記の3頭を取り、その他では初のダート挑戦となるが、パワーに富んだ父キタサンブラックに、母の父がダートの怪物クロフネという配合に魅力を感じるガイアフォース(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)。これが最後のGⅠ挑戦となる安田隆行厩舎が送り込む古豪にして東京巧者のレッドルゼル(牡8歳)を押さえておきたい。

 最後に「穴」としてマークしておきたいのが、ダイワメジャー産駒のドンフランキー(牡5歳/栗東・斉藤崇史厩舎)だ。骨折明けのうえ、ダートでは1200~1400mに絞って使われてきたという課題はあるが、休養前にレコード勝ちした東京盃(JpnⅡ、大井・ダート1200m)で見せたスピードは魅力十分。「今週の追い切りを見ると、前週より一段上がって競馬に間に合ったという感じでしょうか。逃げというスタイルを確立してから初めて臨むマイル戦なので、今回はそこを見てみたいという気持ちです」と斉藤調教師はコメントしている。有力馬が牽制し合えば、その間隙を突いた一発があるかもしれない。

取材・文●三好達彦

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