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フィギュア

「達成感がある」羽生結弦が千秋楽『RE_PRAY』を完全燃焼できたワケ。「魂を込めた滑り」から垣間見えた“真のアスリートの姿”

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.02.20

羽生は優雅なスケーディングで観衆を魅了した。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

羽生は優雅なスケーディングで観衆を魅了した。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 事実、演技と演技の合間に流れるスクリーン映像でも、闘う姿は見られた。ゲームキャラクターの羽生が『Hope & Legacy』『Let's Go Crazy』『天と地と』など、過去の名プログラムの衣装を着て巨大なモンスターをなぎ倒す粋な演出をしたり、鮮やかなプロジェクションマッピングや照明をフル活用して、命の根源となる水や木々など進化の過程が表現された。

 プログラムについても『破滅への使者』の時には、まるで競技会のような6分間練習から始まり、スクリーンには砂時計でカウントダウンが刻み込む。滑走直前には唯一無二の相棒であるプーさんの頭を撫でる試合のルーティーンを見せ、張り詰めた緊張感のなかでブザーが鳴った。

 運命のゲームがスタートした。冒頭は4回転サルコウを華麗に着氷。続いてトリプルアクセル+2回転トウループのコンビネーション。単独の3回転ループ、4回転トウループを降りると、演技後半は4回転トウループ+1オイラー+3回転サルコウに、さらに1オイラー+3回転サルコウをつける前代未聞の5連続ジャンプに成功。最後はトリプルアクセルを降りて、見事にゲームクリア。のちに、「やっと破滅(への使者)ノーミスできた…」と漏らすほど、これまでの練習が報われ、過去の自分に打ち勝てたことを喜んだ。

「毎回映像の部分はひたすら着替えて靴を履いてみたいなことをずっと繰り返してたので。でも、こういった中でノーミスでできたことは、またあらためて自分がやってきたことが正しかったと思える瞬間でした」
 
 最初のプログラム『いつか終わる夢』から始まり、本ツアーで絶大な支持を受ける『阿修羅ちゃん』『MEGALOVANIA』『天と地のレクリエム』など珠玉のプログラム全12曲を滑り切った羽生。終盤には、ここまで3公演を支えたスタッフやファンに感謝の言葉を述べた後、「やっぱ寂しいな~」と思わず漏らす場面があった。

 あのひと言について取材陣から問われると、「自分の中で、今日完結できたなっていうぐらいの達成感があったので。達成できたからこそ嬉しいし、嬉しいとともにその寂しさが一緒に募ってきたっていうか。達成してしまったみたいな感覚で寂しいなって思いました」と、その胸中を明かす。

「皆さんにとってはイメージがしづらいかもしれないですけど、ある意味、自分の中でオリンピックを取ったぐらいの勢いで、めちゃくちゃ練習してきたことが達成できた。でも、まだまだこれから構成を上げられると思いますし、もっと強くなれると思う。もっと練習します」

 真のアスリートであり続けるため、プロ転向後もたゆまぬ努力を積み重ねて『RE_PRAY』を見事に完遂した羽生。次はいったい、どんなギフトを届けてくれるのだろうか。稀代のスケーターが見据える新たなステージに期待したい。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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