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3連単153万馬券の大波乱はなぜ起きた? 人気薄ペプチドナイルをGⅠ戴冠に導いた藤岡佑介騎手の“コミュニケーション力”【フェブラリーS】

三好達彦

2024.02.21

 ペプチドナイルは、父はダートの強豪チュウワウィザード(GⅠ・JpnⅠを4勝)なども出している万能型のチャンピオンズサイアーであるキングカメハメハ。本馬はその晩年の産駒で、長い時間をかけてじわじわと力を付けてきた。

 ただ、リステッド競走・オープン競走は勝っているものの、ここまで重賞では昨年のみやこステークス(GⅢ、京都・ダート1800m)の4着が最高着順。前走の東海ステークス(GⅡ、京都・ダート1800m)も勝ち馬から0秒5差の6着に終わっていたため、単勝11番人気と評価が低かったのも妥当だったと言えるだろう。

 しかしレース後、藤岡佑介騎手はペプチドナイルとの金星をこう振り返る。

「武厩舎の馬とは普段からコミュニケーションを取っているので、馬自身の調子が良さそうなのは分かっていました。ちょっと厳しいペースを追走して早めに先頭に立ったので、何とか頑張ってくれという感じで追っていました。レース前、調教師から『気楽に乗ってきてくれ』と言われていて、人気薄で周りからも変なプレッシャーをかけられなかったので、今回は良いパフォーマンスを出すことができたと思います」

 ペプチドナイルの力量をどう評価するべきかは悩むところだ。

 ただでさえ直線が長いために底力を要する東京の良馬場を舞台とし、さらにはハイペースになった競馬を先行して押し切ったという意味では、主に1800m以上の距離を使われ、豊富なスタミナを育んできた彼にピタリと条件が合ったのは明らか。だとしても、このメンバーの中では屈指の力量を持っていたのは疑うべくもないだろう。

 ただし最初に述べたように、強豪たちの遠征でややレベルが下がったメンバー構成に恵まれたという感があるのは否めない。慎重に言うならば、「ダートのトップホースたちへの挑戦権を得た」と言うべきだろう。

 一方で、2着に食い込んだガイアフォースにも触れざるを得ない。セントライト記念(GⅡ、中山・芝2200m)の勝ち鞍がある力量を持ってはいるものの、ダート初戦がGⅠというのはハードルが高いと思われていただけに、この好走には驚かされた。パワー型の産駒も出しているキタサンブラック産駒であり、母の父がダートの怪物として鳴らしたクロフネという血が導いた結果ということだろうか。陣営が新たな活路を見出そうと選んだダート挑戦は称えられるべきだろう。
 
 本稿で「主軸」に指名したキングズソード(牡5歳/栗東・寺島良厩舎)は勝ち馬と0秒3差の5着に終わったが、最終コーナーで外へ振られ、直線でも坂下で前が塞がる不利を受けたのが痛かった。進路が空いてからの末脚はひと際目立つものだっただけに、この一戦で見限るのはまだ早すぎるだろう。

 1~3番人気を占めた人気馬は、いずれもハイペースに巻き込まれた、もしくは戸惑ったのが敗因か。気になったのはウィルソンテソーロのテンションの高さで、多量の発汗によってゼッケンの周囲が白い泡にまみれるほどだった。また1番人気を大きく裏切る14着に沈んだオメガギネスは、この舞台をジャンピングボードとして今後の成長の糧にすることを期待したい。

取材・文●三好達彦

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