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モータースポーツ

「F1は1日たりとも忘れることはない」 セナ、ラッツェンバーガーを失ったイモラの悲劇から30年。各国メディアが様々な角度から再脚光

THE DIGEST編集部

2024.05.04

 30年目という節目であることもあり、例年以上に各国メディアも関係者の証言をまじえて新たなエピソード等を紹介するなど、セナ、ラッツェンバーガーの両ドライバーに改めて脚光を当てている。前者については、数々の伝説を作り上げたこともあり、その神業といわれたドライビングを改めて称賛し、イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、改めてセナの「ベストレース十傑」を選定した(1位は、雨の中でスタートからの4台抜きでトップに立ち、混沌のレースを制した1993年ヨーロッパGP)。
 
 一方、セナというあまりに偉大な存在の前に、どうしても陰に隠れてしまいがちなラッツェンバーガーについて、ドイツのレース専門サイト『OVERTAKE』は「彼の死は、レース界、特にサーキット関係者に大きな衝撃を与えたが、翌日の大きな出来事によって、オーストリア人ドライバーのことはほとんど忘れ去られてしまった。しかし今でもラッツェンバーガーは、セナと同じくらい、イモラの町の代名詞となっている」と報じている。

 また、シムテックでラッツェンバーガーのチームメイトだった、セナと同様に3度の世界王者であるジャック・ブラバムの三男、デイビッド・ブラバムは、オランダのF1専門サイト『RN365』で、ラッツェンバーガーのレースに対するストイックな姿勢や事故の際の状況を改めて明かすと同時に、セナとの取り上げられ方の差にも言及した。

「確かにローランドはセナの陰に隠れており、2人のことが話題になるとすれば、セナがその90%を占め、ローランドは10%程度だろう。しかし、彼らの死が同時期だったことで、ローランドにも注目が集まるのも事実であり、それは悪いことではない。現実問題として、ローランドが亡くなるまで、多くの人は彼について何も知らなかっただろう」

 こうした差が2人の間にあるとしても、彼らの死がF1の安全性の追求に大きな影響を与えたのは間違いない事実であり、大手スポーツ専門チャンネルのスポーツ専門サイト『FOX SPORTS』のオーストラリア版などは、この悪夢の週末から、ピットレーンでのスピード制限、コース改修、コクピットの構造改善、HANS導入など、具体的に安全改革の経緯を振り返っている。つまりは、彼らの死は無駄にはなっていないということだ。

構成●THE DIGEST編集部

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