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ラグビー

【ラグビー】各国ワールドクラスが大量参戦したリーグワン。今季強かったのは彼らに“依存しない”チーム

向風見也

2024.06.02

 頂点に立ったブレイブルーパスも、トッド・ブラックアダーヘッドコーチ体制5季目にあった。原田衛副将曰く「高校の部活みたい」な濃密な雰囲気のもと、段階的に自前のゲームモデルを磨き上げていた。
 

 今季にいたっては、約10年ぶりに再登板したリーチ マイケル主将が国籍、年齢を問わず仲間を繋げた。南アフリカ出身の選手を自宅に招き、「メルカリで買った」という製造機でソーセージ作りを楽しんだこともある。親睦を深め、団結力を紡いだ。

 モウンガ、フリゼルという大駒の活躍を最適化させる土壌が、そこにはあった。シーズンMVPとなったモウンガも、休日に担当コーチと戦術をすり合わせるなどフィールドの外でもリーダーだった。

 この国にスターが増えれば増えるほど、ラグビーがスターを集めただけで勝てるほど簡単でないことが浮き彫りになる。ブラックアダーの談話が味わい深い。

「リッチーもシャノンもワールドクラス。ただ数年前の私たちは、彼らのベストを引き出せなかった。頼ってしまう状態で、結果として彼らがプレッシャーを受け、才能を開花させられなかったはずです」

 一流のパフォーマンスと、それに依存しないクラブが会場を盛り上げたのが今季のリーグワンだ。今年度の全3部の総入場者数は114万6525人。トップリーグ時代を含め過去最多だった昨季の約1.5倍だった。

 東京・国立競技場でのプレーオフ決勝には、5万6486人が詰めかけた。ブレイブルーパスがワイルドナイツを24―20で下したその80分を、1試合で歴代最多となるファンが見守った。

 東海林一専務理事は、新設のマーケティング会社がリピーター確保に尽力したこと、各ホスト会場が託児所の設置などの「試合以外での快適な観戦環境」を提供できたことを観客増の要因に挙げる。

 来季は1部の試合数を2つ増やし、プレーオフ進出枠を4から6に広げる見込みだ。スタジアムの確保率向上、今季初めて実施したクロスボーダー戦の再調整、複数の選手が指摘するゲーム中のレフリングの一貫性といった検討課題も認識しながら、世界に誇れるリーグ作りを目指す。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

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