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ラグビー

国内随一のハードタックラーに課された“世界一のフィットネス”。日本代表デビューを果たした24歳が向き合う「超速ラグビー」の肝

向風見也

2024.07.05

 出番は、与えられた。

 6月22日、東京・国立競技場。イングランド代表戦で後半20分にテストマッチデビューを果たすと、6分後にチーム初トライをお膳立てした。

 敵陣22メートル線付近右で球をもらうと、細かくステップを踏み目の前のタックラーの脇をくぐったのだ。歓声を浴び、ゴールポストの近くまで駆け上がった。守っても山本は向こうの太ももに刺さり、進撃を防いだ。
 

 試合は17―52と惨敗も、次のチャンスを掴むには十分だったのだろう。29日には、メンバーを若返らせてJAPAN XVと名を変えた代表チームで先発入りした。

 東京・秩父宮ラグビー場での対マオリ・オールブラックス2連戦のファーストゲームで、キックオフから2フェーズ目の一撃を皮切りにタックルを連発した。後半13分には、ランナーを倒した2つ先の局面でジャッカルに成功した。7月6日の同カード2戦目(愛知・豊田スタジアム)でも、スターターで出られることになった。

 もっとも本人は、「疲れてくると、だんだん雑になってくる。疲れてきた時でもグリップして(掴んで)、倒し切って、ブレイクダウン(接点での球出し)を遅らせるようにしたいです」。10―36での敗戦を受け、思うように猛者をテイクダウンできなかったシーンを反省していた。

 とはいえ、対戦相手のパワーについて聞かれれば…。

「もちろん強いですけど、全然、戦えるという(感触はある)」

 日本の愛好家の潜在的なニーズに、小兵の活躍がある。オープンサイドフランカーなどのフォワード第3列には、特にその視線が注がれる。

 身長190センチ前後の海外出身者が活躍するのを楽しみながら、大柄ではない国内選手の献身を求めるファンは少なくないだろう。改めて身長177センチ、体重100キロの山本は言う。

「日本には170センチ台のいいフランカーがいっぱいいます。僕が活躍することで、そういう人が『いける』と思ってくれたら。『そういう人の、代表』というか、先駆者というか、そういうものになればいいかなと。強みである低いプレーを80分間、運動量高くやっていく。それがレギュラー獲得に繋がると感じます」

 無差別級の国際ラグビー界で、自分のファイトスタイルを磨く。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

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