殊勲の岩田康誠騎手は、「海外遠征の経験や、これまでやってきたことが今日につながりました。馬自身が充実して、初めて完璧なレースができたのではないかと思います」と、前々の競馬で押し切る狙い通りのレース運びでの勝利を喜んだ。
タフな馬場に強いモーリス産駒で、洋芝の札幌が向いたという要素があるにしろ、ここで有力馬を相手に勝ち切ったことは、岩田騎手が言うように彼の充実を表わしているのは確かだろう。秋の天皇賞(GⅠ)は一昨年が11着、昨年が10着と大敗を喫しているが、この結果を受けて陣営は「今年こそ」と、さぞや力が入ることだろう。
皐月賞を勝って以来、ずっと歯がゆいレースが続いているジオグリフだが、今回は積極的なレースが功を奏した印象だ。ジリっぽさを解消するところまではいかなかったが、芝でもまだまだやれることを証明できた。今後の進路に注目したい。
さて、圧倒的な1番人気の支持を裏切って4着に敗れたプログノーシスだが、もともとゲートの出が悪いことは織り込み済みで、後方追走も想定内だったはず。ただし予想と大きく違ったのはペースがかなりのスローで流れたことで、勝負どころからの“まくり”が利かないほど緩い流れだったのは痛恨事。上りの3ハロンではやはりプログノーシスが34秒4と、次位のステラヴェローチェ(34秒9)を0秒5も上回る最速の末脚を使っているのだから、力負けとは言い難い。昨年はイクイノックスの3着に食い込んだ天皇賞(秋)が視野に入っているはずだが、ステップレースを使ったことでかえって暗雲が漂ってきたと言わざるを得ない。
シャフリヤールは、いつもパドックからテンションが高めの馬ではあるが、それにしても今回は発汗が目立ち、チャカつき方も激しかったように思う。手綱をとった武豊騎手は「本来の脚を使えなかった」とコメントしており、彼の能力を削ぐメンタルの問題があったのではないか、というのが筆者の見立て。今後の進路を含め、どのように立て直してくるのかに注目したい。
文●三好達彦
【関連記事】【名馬列伝】”ミスター競馬” 野平祐二に「スーちゃん」と呼ばれ、愛されたスピードシンボリ。現代競馬の礎を作った歴史的名馬の激闘譜
タフな馬場に強いモーリス産駒で、洋芝の札幌が向いたという要素があるにしろ、ここで有力馬を相手に勝ち切ったことは、岩田騎手が言うように彼の充実を表わしているのは確かだろう。秋の天皇賞(GⅠ)は一昨年が11着、昨年が10着と大敗を喫しているが、この結果を受けて陣営は「今年こそ」と、さぞや力が入ることだろう。
皐月賞を勝って以来、ずっと歯がゆいレースが続いているジオグリフだが、今回は積極的なレースが功を奏した印象だ。ジリっぽさを解消するところまではいかなかったが、芝でもまだまだやれることを証明できた。今後の進路に注目したい。
さて、圧倒的な1番人気の支持を裏切って4着に敗れたプログノーシスだが、もともとゲートの出が悪いことは織り込み済みで、後方追走も想定内だったはず。ただし予想と大きく違ったのはペースがかなりのスローで流れたことで、勝負どころからの“まくり”が利かないほど緩い流れだったのは痛恨事。上りの3ハロンではやはりプログノーシスが34秒4と、次位のステラヴェローチェ(34秒9)を0秒5も上回る最速の末脚を使っているのだから、力負けとは言い難い。昨年はイクイノックスの3着に食い込んだ天皇賞(秋)が視野に入っているはずだが、ステップレースを使ったことでかえって暗雲が漂ってきたと言わざるを得ない。
シャフリヤールは、いつもパドックからテンションが高めの馬ではあるが、それにしても今回は発汗が目立ち、チャカつき方も激しかったように思う。手綱をとった武豊騎手は「本来の脚を使えなかった」とコメントしており、彼の能力を削ぐメンタルの問題があったのではないか、というのが筆者の見立て。今後の進路を含め、どのように立て直してくるのかに注目したい。
文●三好達彦
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