専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
格闘技・プロレス

オールブラックスは大差で下した相手をどう見たのか――日本代表に贈られた賛辞、その真意は?「素晴らしいスタート。“超速”に値するプレーでした」

向風見也

2024.10.31

 後半も日本代表がボールを保持するなか、オールブラックスは21得点。日本代表が攻めれば攻めるほど、オールブラックスにチャンスが転がってきたのではないか。

 この仮説に応じたのはウォレス・シティティ。新進気鋭のナンバーエイトだ。

「(日本代表の攻め方は)ディフェンスにとってはかなり辛いものでした。一丸となって守らなければいけませんでした。集中できたことで、ボールを取り返せたのです」
 
 この午後好ラン連発も、答えは慎ましかった。ここへ、ロバートソンは補足する。

「ボールを取り返す場面は(勝負の)鍵になった」

 繰り返せば、日本代表は『超速ラグビー』を謳う。今年約9年ぶりに復帰のエディー・ジョーンズのもと、集団的にスピード感を持ってプレーするのを目指す。

 特にいまは、「いまはわざと超速ラグビーの極端なバージョンをプレーさせています」とジョーンズ。前衛を崩すランやパス、後衛の穴場を突くキックのうち何を用いるかを素早く決めるのを『超速ラグビー』の本質的な肝としながら、あえて前者へ固執することでスタイルの涵養を急ぐ。このほどの被ターンオーバーが絡んだ大量失点も、成長痛のように捉える節があった。

 2027年のワールドカップオーストラリア大会までに、ラン、パス、キックのバランスを微修正するつもりのようだ。いまは成長段階にあたる。

 一方でオールブラックスも、新体制のもと組織を再構築し始めたばかりだ。

 今回の日本代表戦には、これから主力定着を狙う層にベテランを織り交ぜて臨んでいた。直後の欧州遠征に備え、一部の主力はこの午後に先んじて出国させている。

 戦前の世界ランクで11下回る14位の日本代表と戦う意味は、選手の見極めとスコッドの層の拡大にあった。

 新しいボスのロバートソンは「勝利を挙げられたうえ、何よりも怪我人が出なかったのがよかった」と言い残した。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)
【関連記事】「トイレの落書きの電子版」SNSの誹謗中傷にラグビー日本代表ジョーンズHCが見解。雑音を遮断し、かつチームの問題を放置せず次なる戦いへ
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号