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ラグビー

“オールブラックスになりたかった”男が再び日本代表として憧れのチームと激突「今回はあんまり特別な気持ちはなくて…」

向風見也

2024.10.25

2メートルを超える巨漢ロックのディアンズ。再び母国と相まみえる。(C) JRFU

2メートルを超える巨漢ロックのディアンズ。再び母国と相まみえる。(C) JRFU

 もしもあの時、帰国していたら、オールブラックスと呼ばれるニュージーランド代表に入っていたのではないか。常に周りからそうささやかれるラグビー選手が、日本代表にいる。

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 ワーナー・ディアンズ。身長201センチ、体重117キロの22歳である。

 おもなポジションは2列目のロック。空中戦や地上戦の軸だ。高さ、頑丈さが求められる。ここでこの人は、本来の役回りを全うするうえで速さ、手先の器用さも長所とする。自ずと高い目標を掲げる。
 
「世界一のロックになりたいです」

 来日してきたのは中学2年の頃だ。プロのS&Cコーチである父のグラントさんが、日本の現NECグリーンロケッツ東葛で仕事を始めたのがきっかけだ。

 ニュージーランドにいた幼少期はバスケットも掛け持ちしていたが、列島では楕円球一本でキャリアを積む。

 流通経済大柏高へ進んだ当初は、約185センチでやや細かった。サイズアップしたのは、1年目のオフから毎朝のウェートトレーニングを重ねたからだ。急激に背も伸びた。

 母のターニャさんはネットボールのニュージーランド代表だ。高校の指導者は、本人が「将来、オールブラックスになりたい」と話していると知る。

 しかし高校卒業後のディアンズは、周囲の勧めもありこの国の現・東芝ブレイブルーパス東京と契約した。母国へ戻らず、さらにこの国の大学を経ずに、当時のトップリーグへ参戦するプロ選手となった。2021年のことだった。

 その年の11月には、早くも日本代表デビューを果たした。ブレイブルーパスで公式戦デビューを果たす前のことだ。

 さらに’22年10月29には、東京は国立競技場で極上の体験をした。憧れのオールブラックスに挑んだのだ。

 後半16分、向こうの蹴った球へ手を伸ばして弾く。そのまま胸元へ納め、約40メートルを走り抜けた。トライ! 試合は惜敗も、31―38と肉薄した。

 希代の才能は、’23年にはワールドカップフランス大会へ出場。今年発足の新体制のもとでも赤と白のジャージィを託され、10月26日、神奈川・日産スタジアムで再びオールブラックスと対峙する。

「今回はあんまり(母国との対戦することへの)特別な気持ちはなくて。前回はいい試合して勝ちそうだったので、今回は、もうちょっといい結果を出せるように頑張りたいです。まあ、試合で、自分たちのラグビーができれば勝てると思います」
 
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