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競馬

【名馬列伝】26年前、武豊の日本ダービー連覇をアシストした名牝ベガの仔・アドマイヤベガ。三強対決、偉大な血脈に彩られた特別な馬生

三好達彦

2025.02.15

 血とは不思議なもので、アドマイヤベガも母ほどではないものの、前脚に内向が見られた。ただし幸いだったのは、体が華奢に出たため体重が軽く、そのぶん脚に負担が掛かりにくかった。馬体が小ぶりなのがメリットと捉えられることは滅多にないが、アドマイヤベガは、それがプラスに働いたレアケースだった。

 天皇賞(秋)でサイレンススズカが悲劇に襲われた翌週の1998年11月7日、アドマイヤベガは京都でデビュー(芝1600m)戦を迎えた。単勝オッズ1.7倍の1番人気に推され、レースでも2番手を置き去りにして圧勝を遂げたように見えたが、直線で斜行して他馬の進路を妨害したため4着に降着。橋田と武のコンビはここでも憂き目にあった。

 しかし、初戦でポテンシャルの高さを認識した陣営は強気で、2戦目に500万下(現1勝クラス)のエリカ賞(阪神・芝2000m)に参戦。同じサンデーサイレンス産駒のスリリングサンデーに迫られたものの、クビ差で勝利。陣営の期待に応えて見せた。
 
 続いて臨んだのはGⅢ、阪神の芝2000mで行なわれるラジオたんぱ杯3歳ステークス(現・ホープフルステークス)。アドマイヤベガは中団の後ろ目を進み、直線で鋭く抜け出すと追い込んだマチカネキンノホシを半馬身退けて快勝。3戦目で重賞ウィナーの仲間入りを果たすとともに、クラシック戦線の有力候補との評価を受けるようになった。

 3歳の初戦は弥生賞(GⅡ、中山・芝2000m)。カイバ食いが悪くなり、万全とはいえないなかで迎えたプレップレースで、アドマイヤベガは中団の後方から追走。直線で爆発的な末脚を繰り出すが、早めに先頭に立ったナリタトップロードに1馬身届かず2着となった。

 続くクラシック一冠目の皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)。前走のころから陥っていた食欲不振は戻らず、体調は満足いかない状態のなかで出走すると、単勝1番人気に推されたアドマイヤベガは後方から進んで末脚にかけたものの、これが不発。6着に甘んじた。勝ったのは、毎日杯(GⅡ、阪神・芝2000m)を圧勝した勢いを駆って参戦したテイエムオペラオーで、大外を通る驚異的なロングスパートを決めて戴冠。2番人気のナリタトップロードはクビ+ハナ差の3着となった。
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