専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
ラグビー

混戦リーグワンを象徴する静岡ブルーレヴズの躍進 下剋上を目論むプレーオフで「東海の雄」に勝算はあるか?

向風見也

2025.04.18

突破を図るヴァレンス・テファレ。写真提供:JRLO

突破を図るヴァレンス・テファレ。写真提供:JRLO

 リーグのレギュレーションの変化を追い風にしているのは確か。複数の海外選手を、国内勢と同じ「カテゴリA」としてフィールドに送り出せているからだ。

 ただし連携プレーの多いラグビーで結果を出すには、明確なコンセプトを高次で落とし込む統率力が必須。長らくキックと着実なゲインライン攻略を軸にしてきたブルーレヴズが、大幅な方針変更を短時間で成功させたのが真の注目点と言える。
 

 藤井は着任当初こそ、シーズン開幕直前期に合流したため「手探り」だったと認める。ただし今季は、環境に合わせて自分の考えを浸透させられるようになったという。

 プレシーズンに鍛え込む代わりに、シーズン中の練習量は適宜、調整。ブルース時代よりも社員選手が多い台所事情も鑑みてのことだ。

 鬼軍曹で鳴らすジョー・ドネヒューアシスタントコーチを定期的に母国で待機させ、日常に緊張と緩和のバランスをもたらしたのも藤井流。開幕前のキャンプに、自身が支えてきた前日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフを招いたのもメリハリを作る一環だ。その心を説く。

「毎日、同じ練習をしていると疲れてくるのよね、頭が。そうなると、エナジーがなくなってくる。合宿では場所だけを変えるんじゃなくて違うコーチを呼んだりして、選手がいつも刺激を受けられるようにしていかなあかん」

 サポート役のスタッフやコーチには、特殊技能よりも前向きさや懸命さを求める。

 環境づくりに気を配ることで、控え組を含めたスコッド全体が戦術理解へポジティブになれると信じるのだ。

 振り返れば19年のワールドカップ日本大会では、ジャパンで「ONE TEAM」と謳って世界8強入り。その果実を得るまでに、「何をするか」と同時に「誰がするか」が成否を左右しうるという皮膚感覚を掴んでいる。

 ふと、こう呟く。

「どういうアタックシステムにしたんですか、って、よう聞かれるんや。でも、(大事なのは)そんな問題じゃない。それを、何年もかけて学んだよね」

 件のブレイブルーパス戦では、精神的支柱でフランカーのクワッガ・スミス主将を欠場させていた。プレーオフを決めてからのリーグ戦では、さらにメンバー構成に変化を加えることも示唆。5月下旬からの短期決戦での上位陣撃破から逆算し、見えざる一手を打つ。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)
【関連記事】「トイレの落書きの電子版」SNSの誹謗中傷にラグビー日本代表ジョーンズHCが見解。雑音を遮断し、かつチームの問題を放置せず次なる戦いへ

【画像】日本陸上界が誇る “最強美人ハードラー”田中佑美の華麗なる厳選フォトを一挙お届け!
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号