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競馬

女王戴冠への3条件「距離延長に耐えるタフさ」「豊富なスタミナ」「道悪馬場を苦にしない」から導かれる最有力候補【オークス】

三好達彦

2025.05.24

 アルマヴェローチェは、馬群の外を回るレース内容でエンブロイダリーにクビ差及ばなかった。しかしこれは、いわゆる負けて強しの競馬で、示した能力の差はエンブロイダリーと互角、あるいは上回っていたとさえ思われる。加えて、アルマヴェローチェには強調材料が2つある。血統と道悪適性がそれだ。

 父のハービンジャーは、自身が現役時代に欧州の中長距離路線のトップランナーだったのはもちろん、産駒にもオークスと秋華賞を制したチェルヴィニアのほか、ブラストワンピース(有馬記念)、モズカッチャン(エリザベス女王杯)、ディアドラ(秋華賞、英GⅠのナッソーステークス)など、中長距離を得意とした仔を数多く送り出している。アルマヴェローチェにとって距離延長は普通にプラス材料と捉えられるだろう。

 加えて、アルマヴェローチェには道悪をこなした実績がある。稍重の桜花賞で2着したのはもちろん、昨夏の札幌2歳ステークス(GⅢ、札幌・芝1800m)の重馬場で、今年のNHKマイルカップ(GⅠ)で2着に入ったマジックサンズのハナ差2着に食い込んでいるのだ。洋芝コースの重馬場というタフな条件をクリアしているのだから、道悪競馬が確定的な今回、これほど力強い推し材料はあるまい。よって、アルマヴェローチェを本命と評価したい。

 他の桜花賞組では、1番人気に推されながら5着に終わったエリカエクスプレス(牝3歳/栗東・杉山晴紀厩舎)と、4番人気で3着に入ったリンクスティップ(牝3歳/栗東・西村真幸厩舎)にも多くの票が投じられるだろう。しかし、彼女たちのポテンシャルに一定の高さが認められるものの、エリカエクスプレスは前進気勢の強さが目立ちすぎる面があって距離延長に不安が残り、リンクスティップに関しては、きさらぎ賞(GⅢ)2着は勝ち馬と0秒5差、桜花賞3着が同じく勝ち馬と0秒4差という決定的なビハインドとも言える差を付けられており、GⅠを勝ち切るまではどうかの疑問符が付く。ともに「押さえ」までにとどめておきたい。
 
 その一方で対抗クラスに評価したいのは、レーゼドラマ(牝3歳/栗東・辻野泰之厩舎)とサヴォンリンナ(牝3歳/栗東・田中克典厩舎)の2頭である。

 まずレーゼドラマは、前走フラワーカップ(GⅢ、中山・芝1800m)の内容が抜群だった。平均ペースの2番手でレースを進め、直線へ向くと力強く抜け出して2着を2馬身半差もちぎって快勝。ここまでの4戦がすべて良馬場で行なわれているため道悪の適性を推し量るのは難しいが、前目の馬が総崩れとなり、タフさが求められたフラワーカップの内容から、時計勝負よりも馬場が渋ったほうが向くのではないかと考えられる。

 サヴォンリンナは未勝利戦を勝ち上がって臨んだ稍重の忘れな草賞(L、阪神・芝2000m)を2番手からの差し切りで快勝。田中調教師が「ずっと右肩上がりに来ている」とコメントしたように、デビューから7着、2着、1着、1着と2連勝中。トップクラスとの手合わせは初めてとなるが、父が菊花賞と有馬記念を勝った名うての中長距離馬サトノダイヤモンドという血統的な魅力を含め大駆けを期待したい。

 その他では、フローラステークス(GⅡ)の覇者で、父ブラックタイド×母の父サクラバクシンオーというキタサンブラックと同配合の魅力を持つカムニャック(牝3歳/栗東・友道康夫厩舎)。1勝クラスの条件戦ながら、矢車賞(京都・芝2200m)で強烈な追い込みで勝利を収めたタガノアビー(牝3歳/栗東・千田輝彦厩舎)。しばしば大穴を開ける抽選組からも、忘れな草賞でしぶとく2着に食い込んだサタデーサンライズ(牝3歳/栗東・石坂公一厩舎)を加えておきたい。

文●三好達彦

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