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ラグビー

「東芝って、集まり、多くないですか?」リーグワン連覇を狙うBL東京の“強固な組織力”の正体とは?

向風見也

2025.05.24

 名伯楽の言葉を裏付けるのは眞野泰地。入団5シーズン目のセンターは某日、本来なら「どのチームに行っても、ストラクチャー(各種の決まり事)を知らなくても適応できる」であろうモウンガについて聞かれた。
 
 序盤戦で股関節を痛めながらも徐々に復調した主軸の動きについて、こう証言した。

「東芝のラグビーになじんだ。去年はまだストラクチャー(決まり事)がわかっていないなかで周りを見て…という感じ。いまは自分からチームに『(次のプレーは)これでいく』と声をかけていた。連動は、去年以上によくなった」

 繋がりの強さはフィールドの外にも見られる。

 リーチは最近、他クラブから移籍してきた選手にこう聞かれたという。

「東芝って、集まり、多くないですか?」

 ポジション、年代、出身地、ロッカーの位置と、共通点のある者同士での食事会やカフェ会が多いこと、多いこと。既存組にとってはそれが常識だったため、はっとしたようだ。時期によっては、部員行きつけのコーヒー店のお代をブラックアダーへ「つけ」てよい。組織的に交歓を促す。

 仲のよい者同士でレベルの高いラグビーを共有し、表現できるのだとしたら、結果が出るのは必然である。

 コベルコ神戸スティーラーズとの準決勝を2日後に控えた22日、ちょうど故障から戻ったフルバックの松永拓朗が会見した。日本代表4キャップのこの人が強調したのは、練習に戻ってから3週間ほど入った「K9」の凄みだ。

 ブレイブルーパスでは、週末の試合のメンバーから外れた控え選手がその都度「K9」というグループを編成。水間良武、藤田貴大の両アシスタントコーチの指揮のもと、対戦相手の動きをコピーして実戦練習で表す。その出来について「K9」同士でミーティングをするほどの情熱で、レギュラーにプレッシャーをかける。

「K9」を支える指導陣は松永のリーダーシップに助けられたと述べる一方、松永その人はこう言い切る。

「メンバー外がどれだけ準備してきているか、またその時の気持ちを理解できた。いいチームだな、このチームで勝ちたいなとさらに思いました」

 互いをたたえ合う狼の群れは、これから行なう全ての試合を「決勝」と捉える。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)
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