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競馬

カムニャック陣営が早くから見据えた大舞台。敏腕トレーナーの慧眼、51歳ジョッキーのいぶし銀たる好騎乗が戴冠に導く【オークス】

三好達彦

2025.05.27

 カムニャックは父ブラックタイド、母の父サクラバクシンオーという、あのキタサンブラックと同じ配合。2002年のセレクトセールにおいて7700万円(税別)で金子真人氏によって落札された。ちなみに金子氏は、ディープインパクトの全兄であるブラックタイドのオーナーでもある。

 昨年8月、芝2000mの新馬戦を勝ち上がった本馬は、次走のアルテミスステークス(GⅢ、芝1600m)を6着に敗れると、約3か月の休養に入って成長を促された。そして今年2月のエルフィンステークス(L、芝1600m)で4着に敗れて桜花賞への優先出走権を逃すと、目標をオークスにチェンジ。フローラステークス(GⅡ、芝2000m)を鋭い切れ味で制すると、勢いそのままに頂点へと到達した。

 陣営が2000m戦でデビューさせたように、早くから長い距離のレース、つまりオークスを目標に据えていたことが分かるが、今回の勝利は中長距離のGⅠで圧倒的な戦績を誇る友道調教師の真骨頂と言えるだろう。

 敏腕トレーナーだけではない。JRAのGⅠ初勝利となったドイツのベテラン、アンドレアシュ・シュタルケ騎手(51歳)の手綱さばきも、あまりに鮮やかだった。出たなりで中団にポジションを取ると、無駄な動きを極力抑えてスタミナのロスを防ぎ、直線で外目へ持ち出して一気に末脚の爆発に導く。そして、アルマヴェローチェの勝負根性を発揮させないために敢えて馬体を併せず、しぶとく差し切って見せた。日本ではジョアン・モレイラ騎手やダミアン・レーン騎手ばかりが褒めそやされるが、シュタルケ騎手のいぶし銀の好騎乗はもっと評価されるべきだろう。
 
 惜しくも大魚を逃したアルマヴェローチェだが、彼女はほぼ全能力を出し切っての2着だと見えた。そして鞍上の岩田望来騎手も最内の1番枠という難しいゲートからの競馬も落ち着いてさばき切った。惜しかったのは、前述の通りカムニャックと馬体が合わなかったこと。これはシュタルケ騎手の老獪な技によるところが大きく、陣営も納得の競馬であっただろう。

 やや離されたものの3着に食い込んだタガノアビーは、連闘→中2週という厳しいローテーションのリスクを跳ね返し、持ち前の素晴らしい切れ味で好戦した。これは最後方からの競馬でもじたばたせず、終いの脚にかけた藤岡佑介騎手の思い切りの良さがもたらしたものだと言えよう。

 また、4着のパラディレーヌは直線半ばで前が壁になって追い出しが遅れた。スムーズであれば、さらに上位へ迫れたかもしれず惜しい競馬となった。

 一方、人気を背負いながら大敗したエンブロイダリーは、道中で激しく引っかかったのが主たる敗因だ。戦前から距離延長に対する不安が囁かれたが、走力よりもコントロールが利かなくなった気性面において距離の壁があったのではないかと感じる。5着に敗れた3番人気のリンクスティップは、最後の追い比べで見劣ったが、これは第3コーナー手前から強引にまくって出たのが、終いの伸びを欠くことの要因となったのではないか。着順が着順だけに、もったいないレース運びだったと言わざるを得ない。

文●三好達彦

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