ここから彼の快進撃が始まった。5歳3月の中山記念(GⅡ)は2着に3馬身半差を付けて快勝。そしていよいよ海外へ雄飛するときを迎える。
挑戦したのは3月のドバイ・ミーティングで行なわれる芝の中距離戦「ドバイデューティフリー(GⅠ、メイダン・芝1800m/現在の名称は『ドバイターフ』)」。日本から参戦したトウケイヘイローが逃げ、ロゴタイプが先行するなか、ジャスタウェイは馬群の後方から追走。直線で外へ持ち出すと、ここからは彼の独壇場。一気に先団をのみ込むとさらに脚を伸ばし、デビュー以来無敗の6連勝中だった2着のウェルキングトリクス(南アフリカ)に6馬身1/4差を付けてゴール。走破タイムは従来の記録を2秒41も短縮する驚異的なコースレコード(1分45秒52)となった。
この強烈なパフォーマンスを受けて発表された「ワールド・ベスト・レースホース・ランキング」で、ジャスタウェイは130ポンドのレートを獲得。単独世界一のポジションを得た。これは、このランキングの前身であるワールドリーディングホースでディープインパクト(2006年)が125ポンドを得て1位タイとなって以来のこと。単独世界一は日本馬にとって史上初の快挙だった。
ドバイから帰国して初戦に選んだのは約2か月ぶりのレースとなる安田記念(GⅠ)。雨のため不良となった馬場状態が不安視されたものの、オッズ1.7倍の圧倒的1番人気に推されたジャスタウェイは、後方から伸びてグランプリボスと体を併せるようにしてゴール。写真判定の末、ハナ差で勝利を収めており、”世界一”の沽券を守ったのだった。
その後、ジャスタウェイは凱旋門賞(GⅠ)に挑戦したが8着に敗れ、帰国後のジャパンカップがエピファネイアの2着、ラストランとなった有馬記念(GⅠ)がジェンティルドンナと0秒2差の4着とし、現役生活に別れを告げた。
2015年から種牡馬入りしたジャスタウェイは初年度から200頭以上の交配相手を集める人気を博し、2018年のファーストシーズン・サイアー・ランキングで首位となった。以降もホープフルステークス(GⅠ)を制したダノンザキッドや、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)を勝ったテオレーマなどをはじめ、数多くの重賞勝ち馬を送り出している。
トップホースとして活躍した期間は決して長くはなかったが、日本競馬史上初めて”世界一”の称号を授けられた意味はもっと評価されるべきだと思う。
文●三好達彦
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この強烈なパフォーマンスを受けて発表された「ワールド・ベスト・レースホース・ランキング」で、ジャスタウェイは130ポンドのレートを獲得。単独世界一のポジションを得た。これは、このランキングの前身であるワールドリーディングホースでディープインパクト(2006年)が125ポンドを得て1位タイとなって以来のこと。単独世界一は日本馬にとって史上初の快挙だった。
ドバイから帰国して初戦に選んだのは約2か月ぶりのレースとなる安田記念(GⅠ)。雨のため不良となった馬場状態が不安視されたものの、オッズ1.7倍の圧倒的1番人気に推されたジャスタウェイは、後方から伸びてグランプリボスと体を併せるようにしてゴール。写真判定の末、ハナ差で勝利を収めており、”世界一”の沽券を守ったのだった。
その後、ジャスタウェイは凱旋門賞(GⅠ)に挑戦したが8着に敗れ、帰国後のジャパンカップがエピファネイアの2着、ラストランとなった有馬記念(GⅠ)がジェンティルドンナと0秒2差の4着とし、現役生活に別れを告げた。
2015年から種牡馬入りしたジャスタウェイは初年度から200頭以上の交配相手を集める人気を博し、2018年のファーストシーズン・サイアー・ランキングで首位となった。以降もホープフルステークス(GⅠ)を制したダノンザキッドや、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)を勝ったテオレーマなどをはじめ、数多くの重賞勝ち馬を送り出している。
トップホースとして活躍した期間は決して長くはなかったが、日本競馬史上初めて”世界一”の称号を授けられた意味はもっと評価されるべきだと思う。
文●三好達彦
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