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競馬

【名馬列伝】“マルゼンスキー超え”を果たしたリンドシェーバー 「マル外ブーム」の着火剤となった90年代の超快速馬

三好達彦

2025.07.21

 デビューは1990年7月、札幌の新馬戦(芝1200m)。好調教から単勝オッズ1.4倍の圧倒的1番人気に推されたリンドシェーバーは、ゲートを飛び出すとスピードの違いで難なく先頭に立ち、直線ではワンサイドゲームに持ち込む。後続を楽々と突き放し、ゴールでは2着に8馬身(1秒3)もの差を付ける圧勝で初戦を飾った。関係者の間では「積んでいるエンジンが違う」との声も聞こえたという。

 不良馬場で行なわれた2戦目のクローバー賞(OP、函館・芝1200m)はノーザンドライバーをクビ差抑えて勝利を収めた。しかし、同じく不良馬場での開催となった3戦目の函館3歳ステークス(現・函館2歳ステークス/GⅢ、函館・芝1200m)は、逃げたミルフォードスルーを捉まえ切れずに半馬身差の2着と、初の敗戦を喫してしまう。この時期はソエ(幼駒に現れやすい前肢の骨膜炎)が出て、十分なトレーニングが積めなかったという事情もあったという。

 その後、函館から美浦に戻ったリンドシェーバーは約2か月を休養に充て、ソエも治まった万全のコンディションで12月の朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス/GⅠ、中山・芝1600m)にエントリー。ここで驚愕の記録を叩き出す。

 小雨が降りながらも良馬場で行なわれたこの一戦。リンドシェーバーはインの6番手からレースを進めると第3コーナーから徐々に位置を押し上げ、最終コーナーの出口でやや外へ持ち出しながら直線へ向く。坂下で逃げ馬を交わして先頭に躍り出たところへビッグファイトが猛追し、2頭が馬体を並べての追い比べとなったが、鞍上のステッキによるゴーサインを受けると“二の脚”を繰り出して一気にライバルを突き放し、ゴールでは1馬身1/4差をつけて圧勝を飾っていたのだった。
 
 関係者やファンを驚かせたのは、鮮やかな勝ち方はもちろん、走破タイムの1分34秒0という数字。これは1976年にマルゼンスキーが記録したレースレコードを0秒4も更新していたのだ。

 マルゼンスキーは同レースを勝った際、2着に2秒2(13馬身差とされる)もの大差を付けていたため、本気で追っていれば時計はもっと詰まったであろうから、リンドシェーバーの記録と同列に扱うのは無理があるのは確かだろう。それでも、なかば伝説化していたマルゼンスキーのタイムを上回ったという衝撃は絶大なものだった。

 そして、この勝利を受けて行なわれたJRA賞の投票では、関西の2歳チャンピオン決定戦の位置づけであった阪神3歳ステークス(GⅠ、阪神・芝1600m)を制したイブキマイカグラとの争いとなったが、イブキマイカグラの23票に対してリンドシェーバーは147票を獲得。圧倒的な支持を受けて最優秀3歳牡馬(現・2歳牡馬)のタイトルを手にした。
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