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フィギュア

「デビュー戦としては満足」注目の村元&高橋組はアイスダンスで2位発進。女子は坂本花織、男子は鍵山優真がSP首位に【NHK杯】

辛仁夏

2020.11.28

演技直後は悔しさを露わにしたが、87.26点をマークして首位に立った鍵山。(C)Getty Images

演技直後は悔しさを露わにしたが、87.26点をマークして首位に立った鍵山。(C)Getty Images

 男子SPでは、今季シニアデビューしたユース五輪王者の鍵山優真がシニアGPシリーズ大会の初陣で87.26点をマークして首位発進。鍵山と同い年で優勝候補の一角と目されていた、昨季のジュニアGPファイナル覇者の佐藤駿はジャンプでミスを連発して72.04点の7位と出遅れた形となった。

 2022年北京五輪代表を目指す鍵山は、飛躍のデビューシーズンにすべく、今季から海外の振付師で著名なローリー・ニコル氏にプログラムを作ってもらった。この日のSP「Vocussion」では小刻みなテンポの細かい音をしっかりと捉えながら、持ち味の表現力を発揮。得点源となるジャンプでは冒頭に4回転サルコー+3回転トーループの連続ジャンプを鮮やかに跳び、続く4回転トーループも安定感抜群のキレの良さで成功させた。その勢いに乗って最後のトリプルアクセルも決めたかったが、回転が抜けて1回転のミス。アクセルは2回転以上を跳ばなければならないという規定に違反して無得点となったが、ステップと3つのスピンで全てレベル4を獲得してGOE(出来栄え)でも加点をもらってカバーした。
 
 演技直後に両手で頭を抱えるほど悔しそうにしていた鍵山は「(トリプルアクセルの失敗は)ノーミスを目指して練習してきたので、めちゃくちゃ悔しい」と胸中を吐露。「プログラム前半は練習よりもうまくいったのでいけると思った。そこで、ノーミスしたいと余計なことを考えて慎重になってしまい、体が動かなくて(回転が)抜けてしまった。フリーでもプログラム後半に苦手意識のあるトリプルアクセルを跳ぶので、疲れている中でも跳べるように絶対ノーミスしたいです」と巻き返しを誓っていた。

 一方、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」で戦いの場面を演じた佐藤は、冒頭の4回転トーループ+3回転トーループの連続ジャンプを予定していたが、2本目が1回転になるミス。続く4回転ルッツでも着氷でバランスを大きく崩して両手をついて大幅減点となった。得意のトリプルアクセルを最後にびしっと成功させて気を吐いた佐藤は「調子は結構良かったんですけど、力が入りすぎてしまった。フリーは思い切りやるしかない。自分のマックスの演技ができるように頑張りたいです」と、終始、悔しそうな顔で答えていた。2位は83.27点の友野一希、3位は79.22点をマークした全日本ジュニア王者の本田ルーカス剛史だった。

文●辛仁夏 YINHA SYNN
1990年代に新聞記者となり、2000年代からフリーランス記者として取材活動を始め、現在に至る。フィギュアスケート、テニス、体操などのオリンピック種目からニュースポーツまで幅広く取材する。

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