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ラグビー

トップリーグ開幕戦で際立った松島、リーチ、ケレヴィの存在。今度こそ「にわか」をつなぎ止められるか?

吉田治良

2020.01.13

松島をタックルで止めるシーンもあったリーチだが、この日の出来は自己採点で「10点満点の4点」とコメント。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

松島をタックルで止めるシーンもあったリーチだが、この日の出来は自己採点で「10点満点の4点」とコメント。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 日本代表だけではない。この日、圧巻のプレーで大観客の度肝を抜いたのが、W杯での活躍も記憶に新しいサントリーの新戦力、サム・ケレヴィだった。まさしく鎧のような上半身で、遠目からでも明らかに異質に映るオーストラリア代表CTBは、33分に中央を抜けた東芝の中尾隼太をダンプカーのような当たりで吹き飛ばすと、終了間際の76分には鮮やかなステップワークから、貴重な勝点1につながるトライ(編集部・注/最終スコアは26-19で東芝の勝利だが、7点差以内で敗れたサントリーにも勝点1が与えられる)を奪ってみせるなど別格の存在感。ケレヴィを見るためだけにスタジアムへ足を運ぶ価値はある。

 一方、数的優位を生かして開幕戦に勝利した東芝では、トンガ出身で拓殖大卒の新人FL、シオネラ・ラベマイの縦への推進力が目を引いた。ときに大先輩のリーチをサポート役に従えて強引に突破を仕掛けるなど、ルーキーらしからぬ豪胆さ。彼のような未来の日本代表候補を探すのも、トップリーグの楽しみ方のひとつだろう。

 W杯を沸かせた優秀な外国人選手が数多く参戦し、今季のトップリーグのレベルは、とりわけフィジカルコンタクトやスピードといった部分で確実に上がっているはずだ。「にわかファン」の関心をつなぎ止め、今度こそラグビーブームを「文化」にまで育て上げられるかもしれない。そんな予感がある。
 
 サントリーの流は言う。
「秩父宮だけでなく、日本中のスタジアムで多くのお客さんを呼べるようなエキサイティングな試合を積み重ねて、日本ラグビーのレベルを上げていきたい」

 同じく松島もこう誓う。
「これからもクオリティーの高いプレーを続けて、自分が子どもたちの憧れの存在になっていきたい」

 そして、ウエイトコントロールのため、肉を断って魚だけで1年を過ごすという肉体改造に挑んでいるのがリーチだ。
「今季のテーマは『ゼロからのスタート』。プレースタイルもゼロから作り上げたい」

 日本のトッププレーヤーたちが、これだけ高い意識で臨んでいるのだから、きっと大丈夫だろう。

「リー――――――チ!」

 W杯でお馴染みとなったリーチ・コールを、この日、足もとから這い上がってくるような寒さをものともせずに叫んでいた子どもたちも、必ずまたトップリーグのスタンドに戻ってきてくれるはずだ。

文●吉田治良

【PHOTO】東芝26-19サントリー|2万人が熱狂!リーチ擁する東芝がサントリーに勝利!松島らも随所で持ち味を発揮

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