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競馬

64年ぶりの3歳牝馬Vはなぜ完遂できたのか。敏腕トレーナーが語った「斤量の優位性」「主戦乗り替え」の思惑が復活走に導く【有馬記念】

三好達彦

2024.12.24

 惜しくもハナ差の2着に敗れたシャフリヤールだが、これは大外の16番枠に入った不利を考慮すれば、負けてなお強しと言えるレース内容。日本ダービー馬であり、ブリーダーズカップ・ターフ(米G1)で2年連続3着、ドバイシーマクラシック(UAE・G1)で2着と、海外遠征で強豪と渡り合った能力の高さをあらためて見せつける快走で、外枠からロスを最小限にとどめて勝ち負けに持ち込んだ名手クリスチャン・デムーロ騎手の手綱さばきの鮮やかさもひと際目を引いた。

 最内枠から意表を突く逃げを打って3着に粘り込んだダノンデサイルも、今年の日本ダービー馬としてのポテンシャルの高さを表現できたと思われる。しかし安田調教師がレース後、「正直な感想を言うと、ダービーの頃と比べると若干無くしているものがあるのではないかと感じた。危機感の方が強い」というコメントを残したのは不安な点。お誂え向きのスローペースで逃げ切れなかったのに不満が残ったのかと推察はできるが、安田調教師はそれが何であるのかを明言してはいない。中長距離のトップホースとしての実力は確かなだけに、来春の走りを見守りたいところである。

 1番人気に推されながら6着に敗れたアーバンシックは、ゲートでの出遅れたことがスローペースの競馬のなかで大きく響いた。おっつけて中団までポジションを押し上げたものの、外から進出する馬にフタをされるなどして位置を下げざるを得ないシーンも見られ、直線ではじりじりと伸びるにとどまった。謂れなき批判は慎むべきだとは思うが、どうしても秋後半のGⅠレースで見せていたルメール騎手の不振を表すようなレースとなった印象は拭えない。こちらも来春の再起を期待したい。
 
 最後に中山競馬場の混雑に紛れながら観戦した思いを述べるならば、暮れのグランプリらしい華やかさや盛り上がりはあったものの、やはり天皇賞(秋)、ジャパンカップを驚異的な追い込みで制したドウデュースを欠いたがゆえか、それとも前売り制で人員を制限しているせいか、往時の熱狂が遠いことのように感じられた。それもまた時代の移り変わりという、抗いがたい道理のせいなのかもしれないと、いささか寂しい気持ちを抱きながら、本来はドウデュースの引退式が行なわれていただろう時間に寒風吹きすさぶ中山競馬場を後にした。

文●三好達彦

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