惜しくもハナ差の2着に敗れたシャフリヤールだが、これは大外の16番枠に入った不利を考慮すれば、負けてなお強しと言えるレース内容。日本ダービー馬であり、ブリーダーズカップ・ターフ(米G1)で2年連続3着、ドバイシーマクラシック(UAE・G1)で2着と、海外遠征で強豪と渡り合った能力の高さをあらためて見せつける快走で、外枠からロスを最小限にとどめて勝ち負けに持ち込んだ名手クリスチャン・デムーロ騎手の手綱さばきの鮮やかさもひと際目を引いた。
最内枠から意表を突く逃げを打って3着に粘り込んだダノンデサイルも、今年の日本ダービー馬としてのポテンシャルの高さを表現できたと思われる。しかし安田調教師がレース後、「正直な感想を言うと、ダービーの頃と比べると若干無くしているものがあるのではないかと感じた。危機感の方が強い」というコメントを残したのは不安な点。お誂え向きのスローペースで逃げ切れなかったのに不満が残ったのかと推察はできるが、安田調教師はそれが何であるのかを明言してはいない。中長距離のトップホースとしての実力は確かなだけに、来春の走りを見守りたいところである。
1番人気に推されながら6着に敗れたアーバンシックは、ゲートでの出遅れたことがスローペースの競馬のなかで大きく響いた。おっつけて中団までポジションを押し上げたものの、外から進出する馬にフタをされるなどして位置を下げざるを得ないシーンも見られ、直線ではじりじりと伸びるにとどまった。謂れなき批判は慎むべきだとは思うが、どうしても秋後半のGⅠレースで見せていたルメール騎手の不振を表すようなレースとなった印象は拭えない。こちらも来春の再起を期待したい。
最後に中山競馬場の混雑に紛れながら観戦した思いを述べるならば、暮れのグランプリらしい華やかさや盛り上がりはあったものの、やはり天皇賞(秋)、ジャパンカップを驚異的な追い込みで制したドウデュースを欠いたがゆえか、それとも前売り制で人員を制限しているせいか、往時の熱狂が遠いことのように感じられた。それもまた時代の移り変わりという、抗いがたい道理のせいなのかもしれないと、いささか寂しい気持ちを抱きながら、本来はドウデュースの引退式が行なわれていただろう時間に寒風吹きすさぶ中山競馬場を後にした。
文●三好達彦
列島に衝撃走ったドウデュースの本番2日前、まさかの出走取消…風雲急を告げる混戦模様の有馬記念で注目される「主役候補」は?
「え!? 待って嘘でしょ!」有馬記念の主役・ドウデュースの“出走取消”に列島激震! 悲痛、落胆の声止まず「マジか…」「涙出た」
京都競馬場で起きた、ただならぬ“異変”――。スマホ使用で即日『騎乗停止』になった岩田康誠騎手のジョッキーパンツを複数騎手が着用して出走
最内枠から意表を突く逃げを打って3着に粘り込んだダノンデサイルも、今年の日本ダービー馬としてのポテンシャルの高さを表現できたと思われる。しかし安田調教師がレース後、「正直な感想を言うと、ダービーの頃と比べると若干無くしているものがあるのではないかと感じた。危機感の方が強い」というコメントを残したのは不安な点。お誂え向きのスローペースで逃げ切れなかったのに不満が残ったのかと推察はできるが、安田調教師はそれが何であるのかを明言してはいない。中長距離のトップホースとしての実力は確かなだけに、来春の走りを見守りたいところである。
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最後に中山競馬場の混雑に紛れながら観戦した思いを述べるならば、暮れのグランプリらしい華やかさや盛り上がりはあったものの、やはり天皇賞(秋)、ジャパンカップを驚異的な追い込みで制したドウデュースを欠いたがゆえか、それとも前売り制で人員を制限しているせいか、往時の熱狂が遠いことのように感じられた。それもまた時代の移り変わりという、抗いがたい道理のせいなのかもしれないと、いささか寂しい気持ちを抱きながら、本来はドウデュースの引退式が行なわれていただろう時間に寒風吹きすさぶ中山競馬場を後にした。
文●三好達彦
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