【第3位】『地方・中央の垣根を超える「ダート三冠」が始動』
ダート戦線の活況を受け、中央の芝三冠レースにならった『3歳ダート三冠競走』の設立に向けての施策に特別区競馬組合、地方競馬全国協会、中央競馬会などが合意。地方・中央の垣根を越えて2024年度から実施された。三冠競走はいずれも大井競馬場で行なわれ、一冠目の『羽田盃』(1800m)、二冠目の『東京ダービー』(2000m)、三冠目の『ジャパンダートクラシック(旧『ジャパンダートダービー』、2000m)で構成され、格付けは『JpnⅠ』となった。なかでも大きな変更点があったのはジャパンダートクラシックで、従来の7月から10月へと移設。本年は春シーズンを海外遠征に費やしたため前の二冠には不出走だったフォーエバーヤング(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)が優勝し、レースの格を一気に押し上げた。
【第2位】『海外GⅠ勝利は途切れるも、ビッグレースで日本馬が活躍』
2019年から続いていた日本馬による海外G1制覇の連続記録が23年までで途切れた。しかしながら、世界のトップオブトップを決めるようなビッグレースでの健闘が光った1年になった。特に目立ったのは米国での活躍で、フォーエバーヤングがケンタッキーダービー(G1)、ブリーダーズカップ・クラシック(G1)でともに3着。ブリーダーズカップ・ターフ(GⅠ)でローシャムパーク(牡5歳/美浦・田中博康厩舎)が2着、そしてシャフリヤール(牡6歳/栗東・藤原英昭厩舎)が3着に入った。その他、ウシュバテソーロ(牡7歳/美浦・高木登厩舎)がサウジカップ(G1)とドバイワールドカップ(UAE・G1)でともに2着し、フォーエバーヤングとともに日本馬がダート戦線でも世界と互角に戦える戦力を持つことを証明した。
【第1位】『スマートフォン(スマホ)の不正使用で処分者が続出』
JRAでは調整ルーム内、開催中の競馬場、他場への移動中は通信が可能な機器の使用が禁じられているが、この規則を破る例が2024年は多数確認され、処分を受ける騎手が続出した。今回の事件は23年5月に若手騎手6名によるスマホの不正使用で騎乗停止処分を受けたことを端緒とし、当年は7月(水沼元輝騎手)、10月(小林勝太騎手、永野猛蔵騎手)と同様の例が続出した。この件の発覚によって再調査が行なわれ、一部週刊誌に報道された藤田菜七子騎手のスマホ不正使用も明らかになった。その結果、藤田騎手と永野騎手は現役を引退するに至った。
調整ルームへの設置や、スマホの使用に関しての規制があるのは日本ぐらいであるという特殊な事情を踏まえ、筆者はこれらの措置が時代にそぐわないという見解を持っている。というのも、特に調整ルームに入るのは基本的に開催前日の夕方から夜と決められている一方、騎乗が終わった時点から調整ルームへの入室までの間は外部との通信や面会は何ら規制されておらず、公正な運用の手立てとしては有名無実化しているからだ。
また、騎手をプロフェッショナルとして扱ううえで、それを子ども扱いするという意味で過剰な措置とも感じている。とはいえ、日本において過去に八百長事案が何件か発生しており、いまだにギャンブルを白眼視する風潮が根強いのも確かで、主催者の止むを得ないスタンスも理解できないことはない。
筆者は将来的にこれらの措置が取り払われることが理想だと考えるものだが、その前提として現状の規則を犯さない厳しい自制心が必要であることは言うまでもない。それだけに、これらの重大事犯が続出したことは残念でならない。
第1位をスマホの不正使用の件としたのは不本意ながら、世間への影響という意味を鑑みれば仕方ないことだと感じている。2025年はよりクリーンで、競馬本来の魅力である激しくも美しいレースをアピールする場に立ち返ってほしいと願うばかりである。
文●三好達彦
師走の中山競馬場で行なわれた今年最後のGⅠの裏で、電撃引退した怪物馬の「13」が再脚光
ディープインパクト産駒が積み上げてきた偉大な最長記録「13」。ラストチャンスを阻む最大の敵は、父の背中を唯一知る武豊【有馬記念】
京都競馬場で起きた、ただならぬ“異変”――。スマホ使用で即日『騎乗停止』になった岩田康誠騎手のジョッキーパンツを複数騎手が着用して出走
ダート戦線の活況を受け、中央の芝三冠レースにならった『3歳ダート三冠競走』の設立に向けての施策に特別区競馬組合、地方競馬全国協会、中央競馬会などが合意。地方・中央の垣根を越えて2024年度から実施された。三冠競走はいずれも大井競馬場で行なわれ、一冠目の『羽田盃』(1800m)、二冠目の『東京ダービー』(2000m)、三冠目の『ジャパンダートクラシック(旧『ジャパンダートダービー』、2000m)で構成され、格付けは『JpnⅠ』となった。なかでも大きな変更点があったのはジャパンダートクラシックで、従来の7月から10月へと移設。本年は春シーズンを海外遠征に費やしたため前の二冠には不出走だったフォーエバーヤング(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)が優勝し、レースの格を一気に押し上げた。
【第2位】『海外GⅠ勝利は途切れるも、ビッグレースで日本馬が活躍』
2019年から続いていた日本馬による海外G1制覇の連続記録が23年までで途切れた。しかしながら、世界のトップオブトップを決めるようなビッグレースでの健闘が光った1年になった。特に目立ったのは米国での活躍で、フォーエバーヤングがケンタッキーダービー(G1)、ブリーダーズカップ・クラシック(G1)でともに3着。ブリーダーズカップ・ターフ(GⅠ)でローシャムパーク(牡5歳/美浦・田中博康厩舎)が2着、そしてシャフリヤール(牡6歳/栗東・藤原英昭厩舎)が3着に入った。その他、ウシュバテソーロ(牡7歳/美浦・高木登厩舎)がサウジカップ(G1)とドバイワールドカップ(UAE・G1)でともに2着し、フォーエバーヤングとともに日本馬がダート戦線でも世界と互角に戦える戦力を持つことを証明した。
【第1位】『スマートフォン(スマホ)の不正使用で処分者が続出』
JRAでは調整ルーム内、開催中の競馬場、他場への移動中は通信が可能な機器の使用が禁じられているが、この規則を破る例が2024年は多数確認され、処分を受ける騎手が続出した。今回の事件は23年5月に若手騎手6名によるスマホの不正使用で騎乗停止処分を受けたことを端緒とし、当年は7月(水沼元輝騎手)、10月(小林勝太騎手、永野猛蔵騎手)と同様の例が続出した。この件の発覚によって再調査が行なわれ、一部週刊誌に報道された藤田菜七子騎手のスマホ不正使用も明らかになった。その結果、藤田騎手と永野騎手は現役を引退するに至った。
調整ルームへの設置や、スマホの使用に関しての規制があるのは日本ぐらいであるという特殊な事情を踏まえ、筆者はこれらの措置が時代にそぐわないという見解を持っている。というのも、特に調整ルームに入るのは基本的に開催前日の夕方から夜と決められている一方、騎乗が終わった時点から調整ルームへの入室までの間は外部との通信や面会は何ら規制されておらず、公正な運用の手立てとしては有名無実化しているからだ。
また、騎手をプロフェッショナルとして扱ううえで、それを子ども扱いするという意味で過剰な措置とも感じている。とはいえ、日本において過去に八百長事案が何件か発生しており、いまだにギャンブルを白眼視する風潮が根強いのも確かで、主催者の止むを得ないスタンスも理解できないことはない。
筆者は将来的にこれらの措置が取り払われることが理想だと考えるものだが、その前提として現状の規則を犯さない厳しい自制心が必要であることは言うまでもない。それだけに、これらの重大事犯が続出したことは残念でならない。
第1位をスマホの不正使用の件としたのは不本意ながら、世間への影響という意味を鑑みれば仕方ないことだと感じている。2025年はよりクリーンで、競馬本来の魅力である激しくも美しいレースをアピールする場に立ち返ってほしいと願うばかりである。
文●三好達彦
師走の中山競馬場で行なわれた今年最後のGⅠの裏で、電撃引退した怪物馬の「13」が再脚光
ディープインパクト産駒が積み上げてきた偉大な最長記録「13」。ラストチャンスを阻む最大の敵は、父の背中を唯一知る武豊【有馬記念】
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