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食と体調管理

日本バスケ界のレジェンド「折茂武彦」が語る、現役生活27シーズンを過ごせた裏にある食への意識変化と、自身のバスケットボールストーリー

鳴神富一

2022.09.01

写真提供:©LEVANGA HOKKAIDO(写真は2022年6月18日折茂武彦引退試合で撮影)

写真提供:©LEVANGA HOKKAIDO(写真は2022年6月18日折茂武彦引退試合で撮影)

■支えてくれるすべての人たちのためにもチームを日本一へ

――選手としての経験を経て、現在はクラブの代表として、今度はどのようなビジョンでクラブの方向性を進めていきたいですか。

 レバンガ北海道は色々な歴史の中で生まれてきた中で、なかなかうまく行かない時期もありました。それでもBリーグが誕生して、クラブも変動して、経営状況も良くなっていきました。

 その中でまずは経営の安定化をさせる為に、B1から降格しないような戦い方しか今までは出来ませんでした。過去の失敗から債務超過にもなり、無い袖は振らないという形です。そこからBリーグになって黒字化になり、経営も安定してきました。私がチームを立ち上げた時は3人しかいなかった社員も、今は30人以上の大所帯になっています。

 ようやく形になれた中で昨シーズンから経営方針をシフトチェンジして、「日本一」を目指す形にしています。スポーツの世界ですから、勝負の中で生きる以上は勝たないと意味がない。

 でも、みなさんはこれまで弱小チームだから自分が「日本一」っていうと笑うし、無理じゃないかと言うんですよ。トヨタの時代に周囲に色々言われても自分自身は信念を曲げませんでしたし、曲げなかった結果、日本一になれました。今も同じです。

 もしかしたら今、社員や選手の中にも「折茂さん、何言っているんですか」と思っている人はいるかもしれないけど、ここを信じることができなければ絶対に日本一にはなれません。

 だからこそ、今シーズンも「日本一」をもちろん目指します。そこにコミットしてもらう形で今、クラブを推し進めています。

 昨シーズンから佐古賢一ヘッドコーチのもと「日本一」を目指す戦う集団としてのマインドセットをしてもらい、まだ弱さはありますが、昨シーズンはリーグの強豪チームにも勝てるようになってきました。今までは選手やコーチの入れ替わりもあり、毎シーズンチームをゼロから作っていく作業が必要でした。今シーズンはそういう事もなく、チームの軸はあります。核となる選手が継続してくれて、ようやく上のステージに進むための準備が出来ました。

 それでも最終的な目標は北海道全体がバスケに興味を持ってもらえて、たくさんの子どもたちの目指すものになって、文化として社会に根付いてほしいと思っています。そういうビジョンや理念を実現させる手段として「日本一」があります。

 それと「日本一」になることは今まで応援してくれている人の願いでもありますし、チームが弱い時代からずっと支えてくれている人は勝つ姿を絶対に見たいと思っているんです。昨シーズン、ファイナルの舞台で解説しましたけど、その光景をチーム、クラブ、そしてレバンガ北海道を支えてくれている全ての関係者やファンの皆さまに経験してほしい。

 自分は過去にそういう光景を見た経験はありますが、みんなであの景色を見にいきたいなという風に感じています。
 

写真提供:©LEVANGA HOKKAIDO

――最後に今、バスケット頑張っているアスリートや子どもたちにプロになるためのメッセージやアドバイスを頂けると嬉しいです。

 私から言えるのは、自分に才能がないから、何か特別なものがないから無理だという事を最初から思わないでほしいです。何かを成し遂げる人の全てに、特別な才能がある訳ではないと思っています。私自身も足が特別速い訳でも、凄く高く飛べる訳でもありません。努力をし続けて、色々な事を考えて、ここまでやって来られました。

 これから色々な失敗や挫折、そしてスポーツであれば敗北もあると思います。そこはスポーツ以外でも共通で、絶対に乗り越えていかなといけない壁ですし、しっかりと向き合わないといけません。

 チャレンジすれば必ず失敗します、でもチャレンジしなければ成功も絶対にありません。成功する為に失敗をたくさんしてもらいたいですし、悪い事はではないので、怖がらないで欲しいです。必ず自分が本気で、覚悟を持って、情熱を持って取り組めば、必ず夢に近づけると思っています。



写真提供:©LEVANGA HOKKAIDO

■折茂 武彦/おりも たけひこ
レバンガ北海道 代表取締役社長

1970年、埼玉県生まれ。中学校時代に競技生活をスタートさせると、埼玉栄高校から日本大学に進学。大学4年生時にはインカレ優勝を果たし、卒業後の1993年、トヨタ自動車に(現 アルバルク東京)入社。同年、日本代表に初選出されると2度の世界選手権も含め、数多くの国際大会に出場。国内ではトヨタ自動車時代にリーグ、天皇杯を合わせて4度の日本一を経験した。2007年に北海道へ移籍。その後、経営難によりチームが消滅すると、2011年にレバンガ北海道を創設して、選手兼クラブ代表を務める。その後、日本出身選手初の国内トップリーグ通算10,000得点という偉大な記録を2019年に達成した。翌年開催のBリーグオールスターに出場してMVPを獲得、これはギネス世界記録として認定されている。代名詞でもある正確無比な3ポイントシュートを中心に生粋のスコアラーとして最後まで活躍し、惜しまれつつも、2020年に27年間の現役生活を終えた。現在はクラブを日本一にすべく、代表として日々奔走している。
 

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