──ここからは食事面について聞かせてください。幼少期はどんな食生活をしていましたか?
水泳でオリンピックを目指していた僕をサポートするために、母親も栄養面を考えた食事を作ってくれていましたね。僕は太りにくいというか、すぐに痩せてしまう体質だったので、量もしっかりと食べるように基本的にはなんでも大盛りでした(笑)。
当時は野菜が苦手だったんですが、オムライスとかハンバーグとか、僕の好物にうまく混ぜながら食べさせてくれていましたね。
──特に苦手な食材は?
今はもう、ほぼなんでも食べられるようになりましたが、トマトだけがまだ苦手で。スライスしてあるのは大丈夫なんですけど、ちょっと大きめのブロックに切ってあるやつとか、あとはプチトマトも、いまだに食感が無理なんです(笑)。
──トップアスリートとして、食事面で意識していることは?
寿司、焼肉、オムライス……子どもの頃から好きな食べ物は変わりません(笑)。ラーメンも好きですけど、ただ脂っこい食事は意識してあまり取らないようにしていますね。本当にたまに食べる程度で、前日に不摂生をしたら、翌日はあっさりしたものを食べて調整するようにしています。
この夏のオフシーズンにハマったのが、オートミールとヨーグルトとバナナの朝食。身体を一から作り直す時期に試してみたら、すごくしっくり来たんです。あとは試合前には意識して炭水化物を取るようにしています。
──海外遠征もかなり多いと思いますが、食事面で苦労された経験はありますか?
基本的に海外の料理は好きで、なんでも口に合うんです。むしろ海外に行ったほうがお米とか炭水化物の摂取量が減るせいか、身体が締まる感じがありますね。少し栄養が偏ってしまう分は、サプリメントで補うようにしています。
──腸内環境を整えるという意味では、きのこにも良い効果があります。
そうですね。きのこには食物繊維が多く含まれていますし、それにどんな料理にも合って、調理しやすいイメージもあります。
──きのこ料理で何か好きなものはありますか?
エリンギやシメジを副菜に使って食べることが多いですが、炊き込みご飯、エリンギのバター焼き、エノキの肉巻きなんかも好きなメニューですね。
──これからラグビー選手を目指すジュニアアスリートに、食事面でアドバイスをするとしたら?
競技に関わらず、小学生の頃はとにかくたくさん食べて、身体を大きくすることが大切だと思います。
──ラグビー選手だから、特にこうしたほうがいいということは?
ラグビーはコンタクトスポーツですから、特に身体の大きさが重要になってきます。朝昼晩の3食をしっかり食べることに加えて、いわゆる補食も意識したほうがいいと思います。僕も中学生の頃はラグビーの練習が終わってすぐにおにぎりだけ食べて、その後に家で晩御飯という食生活でしたから。
──話題をラグビーに戻しますが、次のW杯(27年に開催されるオーストラリア大会)はイメージしていますか?
日本代表のヘッドコーチ―が(19年と23年大会を指揮した)ジェイミー(・ジョセフ)から、ふたたび(15年大会を指揮した)エディーに代わり、若い選手も次々と台頭しているなかで、36歳の僕が27年のW杯に出場するのは難しいだろうなって、正直思います。
ですからそこを目指すというよりは、まずはリーグワンで、ベテランなりにレベルの高いプレーを続けていくことだと思っています。きっとそれを見ていてくれる人はいるはずですし、もしかしたら山中をもう一度日本代表に呼んでみたいと思ってもらえるかもしれませんから。
──23年W杯の落選が決まったあとに、自身のSNSで「27年大会を目指す」と発信されていましたが、その後追加招集でW杯に出場したことで、少しスタンスが変わったのでしょうか?
どうなんでしょうね。仮に23年大会に出ていなかったとしても、きっと同じ気持ちだったと思います。あの時にSNSで発信したのは、自分に「まだ終わりじゃない」って言い聞かせる意味合いもあったんです。自分との約束というか、ああいった発信をすることで、周りの空気も含めてすべてをポジティブに変えていきたかったんです。
少しトーンダウンしたように捉えられるかもしれませんが、今も決して27年大会の出場を諦めたわけではないし、出られるものなら出たいですよ。そのために、日本代表の試合も欠かさずチェックしていますからね。
──早稲田大学の後輩で、同じフルバックの矢崎由高選手が日本代表に新風を吹き込んでいますね。山中さんの目から見て、どういう選手ですか。
めちゃくちゃいいプレーヤーですよ。あれでまだ20歳でしょ。これから経験を重ねて、状況判断も磨かれていくんでしょうが、今は得意とする思い切りのいいランでチームを勢いづけるようなプレーを続けていけばいいと思います。まだ何をやっても許される年齢ですから(笑)。
──最後の質問です。山中さんのようなトップアスリートになるためには、何が一番必要でしょう。若い選手たちにアドバイスをいただけますか?
自分が将来どうなりたいか、どうやったらその理想に近づけるかを常に考え、そして行動に移すことだと思いますよ。僕もずっと「今よりも上手くなりたい」と思いながら、ラグビー人生を生きてきましたからね。だからこの歳になっても、暑い日も寒い日も文句のひとつも言わずに走り続けているんです(笑)。
ーーーーー
山中亮平(やまなか りょうへい)
1988年6月22日生まれ、大阪府出身。188㎝・90㎏。
東海大仰星高3年時に全国制覇を果たすと、早稲田大学でも天才肌のSOとして活躍し、大学生ながら日本代表に選出された。2011年に神戸製鋼コベルコスティーラーズに入団後はCTBも経験したが、18年以降はFBが専門だ。19年のラグビーW杯で史上初のベスト8入りに貢献すると、23年W杯にも追加招集で出場した。日本代表キャップは30(68得点)。
水泳でオリンピックを目指していた僕をサポートするために、母親も栄養面を考えた食事を作ってくれていましたね。僕は太りにくいというか、すぐに痩せてしまう体質だったので、量もしっかりと食べるように基本的にはなんでも大盛りでした(笑)。
当時は野菜が苦手だったんですが、オムライスとかハンバーグとか、僕の好物にうまく混ぜながら食べさせてくれていましたね。
──特に苦手な食材は?
今はもう、ほぼなんでも食べられるようになりましたが、トマトだけがまだ苦手で。スライスしてあるのは大丈夫なんですけど、ちょっと大きめのブロックに切ってあるやつとか、あとはプチトマトも、いまだに食感が無理なんです(笑)。
──トップアスリートとして、食事面で意識していることは?
寿司、焼肉、オムライス……子どもの頃から好きな食べ物は変わりません(笑)。ラーメンも好きですけど、ただ脂っこい食事は意識してあまり取らないようにしていますね。本当にたまに食べる程度で、前日に不摂生をしたら、翌日はあっさりしたものを食べて調整するようにしています。
この夏のオフシーズンにハマったのが、オートミールとヨーグルトとバナナの朝食。身体を一から作り直す時期に試してみたら、すごくしっくり来たんです。あとは試合前には意識して炭水化物を取るようにしています。
──海外遠征もかなり多いと思いますが、食事面で苦労された経験はありますか?
基本的に海外の料理は好きで、なんでも口に合うんです。むしろ海外に行ったほうがお米とか炭水化物の摂取量が減るせいか、身体が締まる感じがありますね。少し栄養が偏ってしまう分は、サプリメントで補うようにしています。
──腸内環境を整えるという意味では、きのこにも良い効果があります。
そうですね。きのこには食物繊維が多く含まれていますし、それにどんな料理にも合って、調理しやすいイメージもあります。
──きのこ料理で何か好きなものはありますか?
エリンギやシメジを副菜に使って食べることが多いですが、炊き込みご飯、エリンギのバター焼き、エノキの肉巻きなんかも好きなメニューですね。
──これからラグビー選手を目指すジュニアアスリートに、食事面でアドバイスをするとしたら?
競技に関わらず、小学生の頃はとにかくたくさん食べて、身体を大きくすることが大切だと思います。
──ラグビー選手だから、特にこうしたほうがいいということは?
ラグビーはコンタクトスポーツですから、特に身体の大きさが重要になってきます。朝昼晩の3食をしっかり食べることに加えて、いわゆる補食も意識したほうがいいと思います。僕も中学生の頃はラグビーの練習が終わってすぐにおにぎりだけ食べて、その後に家で晩御飯という食生活でしたから。
──話題をラグビーに戻しますが、次のW杯(27年に開催されるオーストラリア大会)はイメージしていますか?
日本代表のヘッドコーチ―が(19年と23年大会を指揮した)ジェイミー(・ジョセフ)から、ふたたび(15年大会を指揮した)エディーに代わり、若い選手も次々と台頭しているなかで、36歳の僕が27年のW杯に出場するのは難しいだろうなって、正直思います。
ですからそこを目指すというよりは、まずはリーグワンで、ベテランなりにレベルの高いプレーを続けていくことだと思っています。きっとそれを見ていてくれる人はいるはずですし、もしかしたら山中をもう一度日本代表に呼んでみたいと思ってもらえるかもしれませんから。
──23年W杯の落選が決まったあとに、自身のSNSで「27年大会を目指す」と発信されていましたが、その後追加招集でW杯に出場したことで、少しスタンスが変わったのでしょうか?
どうなんでしょうね。仮に23年大会に出ていなかったとしても、きっと同じ気持ちだったと思います。あの時にSNSで発信したのは、自分に「まだ終わりじゃない」って言い聞かせる意味合いもあったんです。自分との約束というか、ああいった発信をすることで、周りの空気も含めてすべてをポジティブに変えていきたかったんです。
少しトーンダウンしたように捉えられるかもしれませんが、今も決して27年大会の出場を諦めたわけではないし、出られるものなら出たいですよ。そのために、日本代表の試合も欠かさずチェックしていますからね。
──早稲田大学の後輩で、同じフルバックの矢崎由高選手が日本代表に新風を吹き込んでいますね。山中さんの目から見て、どういう選手ですか。
めちゃくちゃいいプレーヤーですよ。あれでまだ20歳でしょ。これから経験を重ねて、状況判断も磨かれていくんでしょうが、今は得意とする思い切りのいいランでチームを勢いづけるようなプレーを続けていけばいいと思います。まだ何をやっても許される年齢ですから(笑)。
──最後の質問です。山中さんのようなトップアスリートになるためには、何が一番必要でしょう。若い選手たちにアドバイスをいただけますか?
自分が将来どうなりたいか、どうやったらその理想に近づけるかを常に考え、そして行動に移すことだと思いますよ。僕もずっと「今よりも上手くなりたい」と思いながら、ラグビー人生を生きてきましたからね。だからこの歳になっても、暑い日も寒い日も文句のひとつも言わずに走り続けているんです(笑)。
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山中亮平(やまなか りょうへい)
1988年6月22日生まれ、大阪府出身。188㎝・90㎏。
東海大仰星高3年時に全国制覇を果たすと、早稲田大学でも天才肌のSOとして活躍し、大学生ながら日本代表に選出された。2011年に神戸製鋼コベルコスティーラーズに入団後はCTBも経験したが、18年以降はFBが専門だ。19年のラグビーW杯で史上初のベスト8入りに貢献すると、23年W杯にも追加招集で出場した。日本代表キャップは30(68得点)。