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海外サッカー

事実上の“クビ宣告”仏サッカー連盟会長の「ジダンは気にしない」発言にデシャン監督も呆れ「不適切だった」

THE DIGEST編集部

2023.01.12

仏サッカー連盟のル・グラエ会長(中)がジダン(左)を軽視する<br />
発言が問題とされ、会長職を退任する事態に。デシャン(右)も発言は不適切だと見解を述べた。(C)Getty Images

仏サッカー連盟のル・グラエ会長(中)がジダン(左)を軽視する
発言が問題とされ、会長職を退任する事態に。デシャン(右)も発言は不適切だと見解を述べた。(C)Getty Images

 まさに、“口は災いの元”と言える異例の事態が起きた。

 フランス・サッカー連盟(FFF)のノエル・ル・グラエ会長が現地11日、会長職から「一歩後退」し、同連盟の副会長であるフィリップ・ディアロ氏が暫定的に会長代行に就くことになったと英スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』をはじめ、欧州の複数メディアが報じた。

 FFFが同日に発表した声明によると、パリで開催されたFFF執行委員会の同意を得て、スポーツ省が実施した監査の最終報告、および執行委員会による分析を待つまで、ル・グラエ氏が連盟会長としての職務から離れることを決定したとのこと。同氏は、母国の英雄であるジネディーヌ・ジダンを見下すような発言をしてから、わずか数日でその職を退くことになってしまった。

 ル・グラエ前会長はフランスの衛星放送『RMC Sport』の取材に応じた際に、ディディエ・デシャン監督の後任候補の一角と目されていたジダンについて問われると、「彼から電話を受けることはない」とし、「気にしない」「彼はどこに行ってもいい」と付け加え、次のようにキッパリと否定した。

「デシャン監督を本気で非難できる人なんているのだろうか?誰もいないだろ。ジダンは自分のやりたいことをやるだけで、私には関係ない。彼とは一度も会ったことがないし、ディディエと別れようと考えたこともない。もし、ジダンが私に連絡を取ろうとしたら?私は電話にすら出ないだろう」

 さらに「ジダンがブラジル代表の監督に就任するとしたら?」との質問にも「どうでもいい」と言い放ったル・グラエ氏。同氏のジダンに対する発言は波紋を呼び、カタール・ワールドカップで得点王に輝いた23歳のキリアン・エムバペはSNSに、「ジダンはフランスそのものであり、レジェンドに対して敬意を欠くことはできない」とツイート。ル・グラエ氏の言動に対して不快感を露にして抗議した。

 フランス政府の中でも事態は問題視され、アメリー・ウデア・カステラ・スポーツ大臣は「恥ずかしいほどに、敬意を欠く言動である。それはフランス・スポーツ界のレジェンドを、そして我々全員を傷つけるものだ。サッカー連盟会長が、そのようなことを言うべきではない」と主張し、ル・グラエ氏に謝罪を要求するなど、“ジダン軽視発言”の余波は日に日に大きくなり、ついには事実上の“クビ宣告”とも言えるような退任にまで追いやられてしまった。
 そんななか、フランスのラジオ番組『France Info』は2026年W杯まで続投が決定したデシャン監督にル・グラエ氏がジダンを侮蔑した発言を行なったことについてコメントを求めると、同監督は「(発言は)不適切だった」と言及している。

 さらにデシャン監督は「ジズー(ジダン氏の愛称)に謝罪できたのは良いことだと思う」と自身の見解を述べると、ル・グラエ氏の退任には「予定外だ」とだけ話し、それ以上語ろうとしなかった。

 また、1998年母国開催のW杯でともにトロフィーを掲げた戦友については「昨日も、数ヶ月前も、数年前もそうだが、私はジダンに対して彼という存在がサッカー界、フランスのスポーツ界を代表していることに大きな敬意を払っている」と述べており、二人の間にわだかまりのようなものはないと強調している。一方で、ジダン本人は一連の騒動に対して声明はまだ発していない。

 ユーロ2024、さらには2026年W杯へ向け、新たなスタートを切ったフランス・サッカー界で起きた思わぬお家騒動。混乱の終息には、まだ当分時間がかかりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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