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プロ野球

「まだまだやらないといけないことがたくさんある」“勝負の10月”でオリックスを押し上げるのは紅林と山下で決まり!【オリ熱コラム2025】

野口航志

2025.10.02

山下(左)と紅林(右)、スケールの大きさが持ち味の2人がこの秋のオリックスの命運を左右する。

山下(左)と紅林(右)、スケールの大きさが持ち味の2人がこの秋のオリックスの命運を左右する。

 9月27日の楽天戦で、オリックスが2025年のクライマックスシリーズ進出を3位通過で決めた。この一戦で投打のヒーローとなったのは、これからの短期決戦でこそ輝きを求められる二人、紅林弘太郎と山下舜平大だった。

 試合の流れを決定づけたのは紅林の一振り。5回裏、森友哉が死球で負傷退場という重苦しい空気の直後。紅林が振り抜いた3球目のカーブは、レフトスタンド上段へ消えるツーランホームランとなった。

 球場内に漂っていた停滞感を一気に振り払う、力強い一打。「今日勝ったら(CS進出が)決まるっていうのは知っていたんで、早めに決めたかったとチーム全員思ってたんで、その中で打てたっていうのは良かったなと思います」と紅林は振り返った。

 今季は右肩痛で戦線離脱を経験し、オールスターも選出されながら辞退。悔しい思いを味わった。「ほぼすべて、今まで正しいと思ってやってきたものが、ちゃんとした目線で見た時に違う方向に来ていので、そこを直すというか、一からちゃんと作り直すってところでやってました」と試行錯誤が続いた。春先と比べて上から被せるように構える打撃フォームの変更も、もともと「タイミングをとるのが得意ではない」(本人)ことを受けての試行錯誤の結果だった。

 また、6月以降、意識的に取り組んだうちの一つがメモを取ることだ。「やっぱり自分は調子の波が大きいので、そこを向き合っていかないといけないと思いました。良くても悪くても、ちゃんと(メモを)書き出すことによって、いい時と悪い時が分かってくると思うので。そこを取り組んでやっています」

 打撃練習や試合中にもノートを片手に、何やら書き込む場面が目につく。自身がぶち当たっている壁を何とかして突破しようともがいているようだ。

 そうした粘り強い取り組みが、少しずつ終盤に結果として現れ出した。今季8本目のアーチ。本塁打「10本以上」という毎年の目標にはわずかだが、何よりも短期決戦での紅林弘太郎の「ここぞの一発」を期待したい。

 投げる方では、山下舜平大が388日ぶりの勝利を手にした。「ピンチの場面でも粘ることができましたし、打線が先制した後に失点してしまったところが前回登板からの反省点でもありましたので、そこもなんとか抑えることができて良かったと思います」
 
 4回裏に宗山塁にツーベースを打たれた後、代打・村林一輝と小郷裕哉を連続三振に取った場面について、三振は狙いにいったのかとの質問には「そうですね。カウントが進むにつれて感情も変わりますけど、前に飛ばさせないようには意識して投げてました」。

 7回117球で11奪三振。初回から6者連続奪三振のパ・リーグタイ記録も樹立した18日の西武戦に続いて、圧倒的なピッチングを見せた。

 今季は、オープン戦時に発症した腰痛の影響により9月まで長期離脱。自身にとって久々の勝ちとなったが、「時間はかかりましたけど、まだまだやらないといけないことたくさんあるので、通過点だと思って。もっともっと良くなるかなと思います」と、プレッシャーのかかる短期決戦に向けて頼もしいコメントが返ってきた。
 
 これから続く戦いに向けては「そうですね。日本一を目指すべき。そこしか狙うところがないと思うので、与えられたポジションで、チームが勝つためにどんな手でも使って勝ちたいなと思います」と力強く語った。

 シーズンを通じて怪我人が続出する中、就任1年目でAクラス入りを決めた岸田護監督も「ほんとにみんな満身創痍の中でね、頑張ってくれましたね」と選手たちの奮闘を讃えた。だが指揮官も語るように「一戦一戦、戦っていくところ」が、短期決戦に挑むバファローズのスタンスだ。

 紅林の一打、山下の快投。そのどちらも「ここから先」でこそ真価を発揮してほしい力だ。3位から日本一をつかむために、この2人の存在感は欠かせない。

文:写真●野口航志

【著者プロフィール】
ノグチコウジ。 1984年、神戸市生まれ。岡山大学卒業。記者とカメラマンの『二刀流』。プロ野球を中心に、社会人野球やプロレス・ボクシングなどの取材や撮影に携わる。ブレーブス時代からのオリックスファン。

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