プロ2年目の20歳左腕・東松快征にとって、この7月は忘れられない夏になった。
19日のロッテ戦でプロ初登板、そして27日のソフトバンク戦で初先発。どちらのマウンドでも失点こそ喫したが、次につながる価値ある内容だった。
記念すべきデビュー戦となったロッテ戦は7回裏からの登板。フォアボールで先頭打者を出すと、続く西川史礁にタイムリーヒットを許すなどして2失点。緊張感に飲まれたかのような立ち上がりとなったが、8回には落ち着きを取り戻し、1番から始まる好打順を三者凡退に仕留めてみせた。ストライクゾーンで勝負できたこの回には、持ち味が随所に表れていた。
「初登板は緊張しました。うん。もう緊張ヤバいぐらい緊張して」初の一軍マウンドを振り返った本人の言葉に、その特別な時間の重みがにじんでいた。
初先発となったソフトバンク戦は、前日に厚澤和幸投手コーチから伝えられた。「先発の時は、前日はもう緊張しすぎて、寝れないぐらいだったんですけど。楽しみながらできた」と語るように、マウンドまでは重圧の連続だった。
この試合では野手の間に落ちるヒットや連打も浴びて、結果としては自責点3。それでも、ゾーン内での勝負に徹する投球スタイルを崩さず、甘く入るボールは極力避けながら打者と向き合った。特に警戒しているように見えたのが、1番・周東佑京との対戦。塁に出せば脅威となる俊足を2打席連続で抑え込み、ここぞという場面での集中力が印象に残った。
今後の目標を尋ねると「宮城さん!」と笑顔で即答した。同じ左腕でチームのエースでもある宮城大弥は、東松にとって特別な存在だ。今年の宮崎キャンプでは、宮城や曽谷(龍平)にぴったりと寄り添い、主力投手の所作や姿勢を肌で学んだ。
「そうっすね。ブルペンとかで受けたわけじゃないんで、ピッチング(の球質)とかわかんないですけど、意識の違いっていうのを常々感じました。ウエイトとかやってると宮城さん、曽谷さんはもう(すでにウエイトルームに)いたり。練習その分しているんだなって」
「どうやって投げるか」よりも「どういう心構えでいるか」。技術以上にプロとしての意識の高さに刺激を受け、行動や習慣、考え方が少しずつ変わっていった。 その背景には、プロ1年目の苦い経験がある。高卒ルーキーとして挑んだファームでのシーズン。とにかく「ゼロで抑えたい」という思いが強すぎて、結果ばかりを気にしていた。入りでボール先行、カウントを悪くして、そこからヒット、フォアボールと自滅するパターンが多かった。
「やっぱレベル高いなとは思います」プロの厳しさを肌で感じた1年目。その頃、怪我から復帰直前だった宮城のブルペンを見て、衝撃を受けたことも印象に残っている。「宮城さんとか見てると、えげつない球投げていて、なんかもうすべて尊敬する」
そして今年、プロ初登板・初先発までたどり着いた7月。1年前は結果が出せずにもがいていた時期だったからこそ、今の自分の「違い」を実感している。
「違うっす。全然。世界観が違う(笑)」
そう笑った後、「あと勝ちたいです! とにかく」と真剣な目で続けた。まずは1勝。その一つが自信と落ち着きをもたらしてくれると信じている。
プロ初登板を終えた後、憧れの宮城から「『ナイスピッチ』って言ってくれたんですけど」と声をかけられた。だが東松の心には、こんな思いがあった。
「いや、2年目の宮城さんを僕知ってるんで。テレビ観てたから普通に。『いやいや、違うでしょ。20歳で13勝してるでしょ』みたいな(笑)」
目指すは、あの時の“20歳の宮城大弥”。自身と同じ年齢で、プロ2年目にしてリーグを席巻した先輩の背中を今、追いかけている。
入団時、「チャームポイントは?」と聞かれ、「つぶれるような笑顔」と答えた東松。その“快征スマイル”を、勝利のヒーローインタビューで見せてくれる日が来る。その日が近いことを、彼のこの夏の投球が教えてくれている。
文・写真●野口航志
著者プロフィール
ノグチコウジ。 1984年、神戸市生まれ。岡山大学卒業。記者とカメラマンの『二刀流』。プロ野球を中心に、社会人野球やプロレス・ボクシングなどの取材や撮影に携わる。ブレーブス時代からのオリックスファン。
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19日のロッテ戦でプロ初登板、そして27日のソフトバンク戦で初先発。どちらのマウンドでも失点こそ喫したが、次につながる価値ある内容だった。
記念すべきデビュー戦となったロッテ戦は7回裏からの登板。フォアボールで先頭打者を出すと、続く西川史礁にタイムリーヒットを許すなどして2失点。緊張感に飲まれたかのような立ち上がりとなったが、8回には落ち着きを取り戻し、1番から始まる好打順を三者凡退に仕留めてみせた。ストライクゾーンで勝負できたこの回には、持ち味が随所に表れていた。
「初登板は緊張しました。うん。もう緊張ヤバいぐらい緊張して」初の一軍マウンドを振り返った本人の言葉に、その特別な時間の重みがにじんでいた。
初先発となったソフトバンク戦は、前日に厚澤和幸投手コーチから伝えられた。「先発の時は、前日はもう緊張しすぎて、寝れないぐらいだったんですけど。楽しみながらできた」と語るように、マウンドまでは重圧の連続だった。
この試合では野手の間に落ちるヒットや連打も浴びて、結果としては自責点3。それでも、ゾーン内での勝負に徹する投球スタイルを崩さず、甘く入るボールは極力避けながら打者と向き合った。特に警戒しているように見えたのが、1番・周東佑京との対戦。塁に出せば脅威となる俊足を2打席連続で抑え込み、ここぞという場面での集中力が印象に残った。
今後の目標を尋ねると「宮城さん!」と笑顔で即答した。同じ左腕でチームのエースでもある宮城大弥は、東松にとって特別な存在だ。今年の宮崎キャンプでは、宮城や曽谷(龍平)にぴったりと寄り添い、主力投手の所作や姿勢を肌で学んだ。
「そうっすね。ブルペンとかで受けたわけじゃないんで、ピッチング(の球質)とかわかんないですけど、意識の違いっていうのを常々感じました。ウエイトとかやってると宮城さん、曽谷さんはもう(すでにウエイトルームに)いたり。練習その分しているんだなって」
「どうやって投げるか」よりも「どういう心構えでいるか」。技術以上にプロとしての意識の高さに刺激を受け、行動や習慣、考え方が少しずつ変わっていった。 その背景には、プロ1年目の苦い経験がある。高卒ルーキーとして挑んだファームでのシーズン。とにかく「ゼロで抑えたい」という思いが強すぎて、結果ばかりを気にしていた。入りでボール先行、カウントを悪くして、そこからヒット、フォアボールと自滅するパターンが多かった。
「やっぱレベル高いなとは思います」プロの厳しさを肌で感じた1年目。その頃、怪我から復帰直前だった宮城のブルペンを見て、衝撃を受けたことも印象に残っている。「宮城さんとか見てると、えげつない球投げていて、なんかもうすべて尊敬する」
そして今年、プロ初登板・初先発までたどり着いた7月。1年前は結果が出せずにもがいていた時期だったからこそ、今の自分の「違い」を実感している。
「違うっす。全然。世界観が違う(笑)」
そう笑った後、「あと勝ちたいです! とにかく」と真剣な目で続けた。まずは1勝。その一つが自信と落ち着きをもたらしてくれると信じている。
プロ初登板を終えた後、憧れの宮城から「『ナイスピッチ』って言ってくれたんですけど」と声をかけられた。だが東松の心には、こんな思いがあった。
「いや、2年目の宮城さんを僕知ってるんで。テレビ観てたから普通に。『いやいや、違うでしょ。20歳で13勝してるでしょ』みたいな(笑)」
目指すは、あの時の“20歳の宮城大弥”。自身と同じ年齢で、プロ2年目にしてリーグを席巻した先輩の背中を今、追いかけている。
入団時、「チャームポイントは?」と聞かれ、「つぶれるような笑顔」と答えた東松。その“快征スマイル”を、勝利のヒーローインタビューで見せてくれる日が来る。その日が近いことを、彼のこの夏の投球が教えてくれている。
文・写真●野口航志
著者プロフィール
ノグチコウジ。 1984年、神戸市生まれ。岡山大学卒業。記者とカメラマンの『二刀流』。プロ野球を中心に、社会人野球やプロレス・ボクシングなどの取材や撮影に携わる。ブレーブス時代からのオリックスファン。
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