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MLB

【MLB今日は何の日】メジャー1年目で全米を熱狂させた野茂がオールスター先発に抜擢される快挙

出野哲也

2020.07.11

95年、野茂はトルネード投法で日本はもちろん全米のファンをも熱狂させた。(C)Getty Images

95年、野茂はトルネード投法で日本はもちろん全米のファンをも熱狂させた。(C)Getty Images

 これまで日本人でオールスターに選ばれた投手は7人いる。しかし、先発のマウンドに立ったのはただ一人、1995年の野茂英雄(ドジャース)である。

 前年オフにすったもんだの末に近鉄を退団し、ドジャースに入団した野茂は6月2日のメッツ戦で初勝利を挙げると、同月は2完封を含む6勝0敗、防御率0.89。独特のトルネード投法で三振を奪いまくり、日本はもちろんアメリカでも大人気を集めた。開幕前は誰も想像していなかったオールスターに選ばれただけでもすごかったが、グレッグ・マダックス(ブレーブス)の出場辞退で先発マウンドにまで立つことになったのだ。

 7月11日、舞台はテキサス州のボールパーク・イン・アーリントン。先頭打者のケニー・ロフトン(インディアンス)は代名詞のフォークボールで空振り三振。続くカルロス・バイエガ(インディアンス)には一・二塁間を抜かれたが、ドジャースでもバッテリーを組むマイク・ピアッツァが盗塁を阻止して二死。3番エドガー・マルティネス(マリナーズ)もまたフォークで空振り三振に斬って取った。
 
 2回表もフランク・トーマス(ホワイトソックス)は高めの速球で捕邪飛に打ち取り、アルバート・ベル(インディアンス)に対しては速球で3つめの空振り三振。カル・リプケンJr.(オリオールズ)のヒット性の打球は、トニー・グウィン(パドレス)が追いついた。

 3人の殿堂入り選手(マルティネス、トーマス、リプケン)と、この年のア・リーグMVP(ベル)を相手に2回を無失点。完璧に近い投球内容でマウンドを下りた野茂の感想は「試合中は心の底から楽しんできました。結果が良かったから十分満足しています」。前年のワールドシリーズが中止になったストライキ明けのシーズン。ファンの関心が低下していた中、胸のすくようなピッチングを続けた野茂は、新たなヒーローを求めていたMLBにとって救世主的な存在となったのだった。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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