鬱憤を晴らす痛快な一打だった。

　現地時間４月18日に敵地で行なわれたニューヨーク・ヤンキース戦に、タンパベイ・レイズの筒香嘉智は「７番・指名打者」で先発。決勝タイムリーツーベースを放ち、４打数１安打１打点と目に見える結果を残した。

　この試合が始まる前まで、打率.154、さらに17三振（39.5％）と低迷していた和製大砲が見せ場を作ったのは、２-２で迎えた７回だ。１死１塁でヤンキース、いや球界を代表するエース、ゲリット・コールと対峙した筒香は、外角低めのチェンジアップに身体を泳がせながらも、ほとんど右手１本で右中間を割く、見事なツーベースを放ち、決勝点を叩き出したのだ。

　前日には地元紙『Tampa Bay Times』から「チームに残る保証はない」とマイナー降格の可能性も危惧された筒香。そんな打撃不振に喘ぐ29歳が放った会心のヒットに、レイズのケビン・キャッシュ監督も喜びを隠さない。試合後の会見で「今日のヨシの姿には心が洗われた」と語った。

「ヨシは本当に日々猛練習してきた。そんな舞台裏で懸命に頑張ってきた選手が日の目を浴びるのは、本当に素晴らしいと思う。チーム全員で、あいつを抱きしめて『おい！ お前はうちの大きな戦力なんだぞ』と言ってあげたいぐらいだね」

【動画】剛腕コールから放った痛快打！ 賛辞が相次いだ筒香のタイムリーヒットはこちら 　ヤンキースからの３タテに大きく貢献した筒香を絶賛しつつ、メディアに釘を刺したキャッシュ監督は、「これからもヨシがどんどん調子が上がっていくのを信じて、長い目で見ていくつもりだ。あの勝ち越し打は間違いなく試合の流れを変えた」と続けた。

「あいつの努力が実ったのさ。今日の結果は本人の精神的にもプラスだと思う。チームメートも彼がチームにとって重要な存在だと伝えていたからね。ここ1週間、ヨシが苦戦してるのは誰もが気付いてた。

　我々はいつも気にかけてるし、あいつの成功を何よりも望んでる。だから、今日みたいに大きな場面で打つ姿を見ると気分が良くなる。チームメートからの愛とあのヒットがどれだけ大きかったかを感じてたと思う」

　指揮官からの熱き言葉を受けた筒香。剛腕コールから放った一本が、不振脱却のきっかけになるか注目だ。

構成●THE DIGEST編集部