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高校野球

「ストレートだけでは甲子園で勝てない」明徳の粘りに屈した大会No.1投手・風間が見据える未来<SLUGGER>

氏原英明

2021.08.22

大会No.1投手との呼び声高かった風間。明徳義塾を6回2失点に抑えたもの、2回戦で姿を消すことになった。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

大会No.1投手との呼び声高かった風間。明徳義塾を6回2失点に抑えたもの、2回戦で姿を消すことになった。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 大会注目度ナンバーワン投手の風間球太(明桜)が2回戦で姿を消した。

 試合巧者の明徳義塾の執拗な粘りの前に屈した形だ。

「ストレートだけでは甲子園で勝てないと学びました」

 開口一番、風間は言葉を絞り出した。6回を2失点に抑えるも、球数が139球に達し、この回でマウンドを降りるしかなかった。

 無理もない。初回から変化球を見逃され、ストレートはカットされる。2イニングで50球を投じるほどの苦労ぶり。勝負球になる変化球を持っているが、いかんせんカウントが有利にならない。カウントを取りに行けば打たれ、低めの変化球も振ってくれなかったのだ

 明徳義塾は高知県大会でも世代最強右腕と呼び声の高い森木(高知)を攻略してきているだけに、この試合のポイントも当然、そこにあったが、改めて甲子園で「個」が際立って勝ち切ることの難しさを感じた試合でもあった。

 明桜・輿石重弘監督は「バッターはインコースギリギリに立ってきた」と振り返っている。明徳打線はコースを限定した狙い撃ちを徹底。下位打線にはバットを短く持たせるなど、選手で束になって風間を攻略しようと挑んでいた。
 
「3球勝負で行こうと話をした」と輿石監督はバッテリーにアドバイスを送ったそうだが、相手にはそれを上回るだけのチームとしての徹底力があった。

 甲子園はプロへ進むためのショーケースと見られる部分もあるが、必ずしも怪物投手だけが結果を残せたわけではない。この日の明徳義塾のように、戦略を駆使してチーム全体で好投手を攻略するケースも少なくない。

 もっとも、風間は球数を投げさせられたといっても、6回2失点だから及第点だった。しかし、作戦をほぼ完璧に成功させてきた明徳義塾に対して、明桜は5回の1死満塁のチャンスでスクイズ失敗。4点ビハインドの8回裏に送りバントをして攻め手を狭めてしまった。拙い攻めが続けば、その負担は投手にまで及ぶ。両軍の戦い方の差も、勝負を分けたポイントだった。

 とはいえ、風間自身は自らが打たれたことへの反省を忘れない。これは彼が今後上の世界で戦うためにも必要な素養とも言える。
 
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