専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

15億円に背を向けてFAになった菊池雄星。代理人スコット・ボラスにFA市場での「勝算」はあるのか<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.11.04

自ら選手オプションを破棄してFAになることを選択した菊池。FA市場でどのような評価を得るだろうか。(C)Getty Images

自ら選手オプションを破棄してFAになることを選択した菊池。FA市場でどのような評価を得るだろうか。(C)Getty Images

 現地11月3日、マリナーズの菊池雄星がフリー・エージェントになることが発表された。2022年以降の契約は相互オプションとなっていて、球団側は4年6600万ドル、菊池は年俸1300万ドル、日本円にして約14億8000万円の選手オプションを持っていた。

 今季の菊池は前半戦好調で、初のオールスターに選ばれたが、後半戦に入って失速。シーズン終盤には先発ローテーションから外れ、トータルでは29試合で7勝9敗、防御率4.41、奪三振率9.34という成績だった。メジャー3年間の通算は15勝24敗、防御率4.97。このため、球団側がオプションを行使することはまずないとみられていた。だが、菊池がFAになることを選択したのは驚きだった。

 地元紙『シアトル・タイムズ』のライアン・ディビッシュ記者は菊池の決断について「球団にとってはギフト」としつつ、菊池が先発投手としての価値を改めて証明するため他球団に活躍の場を求めたのだと推測している。

 ただ、この決断が「ギャンブル」であることは間違いない。今オフのFA市場は、サイ・ヤング賞3度の大投手マックス・シャーザー(ドジャース)、防御率と奪三振のタイトルを獲得したロビー・レイ(ブルージェイズ)を筆頭に、17年WBCでMVPを受賞したマーカス・ストローマン(メッツ)、ケビン・ゴーズマン(ジャイアンツ)ら有力投手が数多くいる。その中で、まだメジャーで確固たる実績を残せていない菊池が埋没してしまう危険性は十分ある。少なくとも、選手オプションを行使することで得られた年俸1300万ドルを確保するのは難しいだろう。
 一方で、代理人のスコット・ボラスに何らかの勝算があるからこそ、FA市場に打って出ることを決断したとも考えられる。まだ今オフの市場の「相場観」は不透明ながら、たとえば2年1600万ドル~1800万ドルくらいの額なら十分獲得可能なライン。年平均で見れば「減俸」だが、複数年契約を得られるのであれば、決して悪くない話だ。

 また、菊池には密かな「アピール材料」がある。今季の4シームの空振り/スウィング率は30.3%。これはシャーザー(30.7%)に匹敵する数字で、MLB全体でも屈指の水準だ。さらに、被打率も.209と優秀だった。この「基本スペックの高さ」をベースに、細かなメカニクスの微調整や配球の工夫などで成績は伸びると踏むチームが出てくる可能性はある。

 果たして菊池を最も評価するチームはどこになるのか。そして、どれくらいの額の契約を手にするのか。今オフのストーブリーグに新たな注目ポイントが加わったことは間違いない。

構成●SLUGGER編集部
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号