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守備指標では“超優秀な強肩外野手”のヌートバー。それでも首脳陣が「かなり難しい」と課題を漏らすワケ【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.02.23

強肩が売りのヌートバー。その守備力は数字上では問題ないが、実際はどうか――。(C)Getty Images

強肩が売りのヌートバー。その守備力は数字上では問題ないが、実際はどうか――。(C)Getty Images

 ラーズ・ヌートバー(カーディナルス)はいかに使われるのか。

 この問題は、今年1月にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた最終メンバーが正式発表される以前から議論されてきたテーマだ。

 今回の侍ジャパンの外野手争いでは、レフトに吉田正尚(レッドソックス)、ライトに鈴木誠也(カブス)がレギュラーとして起用されるというのが大方の見方だった。そのなかでセンターの“レギュラー候補”と見られているのがヌートバーだった。

 昨季にメジャーリーグで実質1年目を送った25歳が主戦としたポジションはライト。センターやレフトでは数える程度しか成績がない。ゆえに守備範囲の広さなどが求められるセンターを任せるには、いささか不安がなくはない。

 とはいえ、データ上ではヌートバーの守備は悪くはない。むしろ「超」が付くほどの優秀な部類に入る。同じ守備機会を同ポジションの平均的な野手が守る場合に比べて、どれだけ失点を防いだかを表す指標『UZR』は、昨季が4.9のハイアベレージ。おまけに96.5マイル(約155.2キロ)のストライク送球を披露した強肩の持ち主でもある。
 
 データだけで見れば、「守備範囲もそこそこ広い、強肩の外野手」と評価でき、センターも任せられるだけの実力があると言える。だが、ワンプレーが勝負を左右する短期決戦では、やはり“実績”への懸念が付きまとう。メジャー組の合流が保険の関係から3月6日以降となることを考えれば、なおさらだ。

 侍ジャパンの清水雅治外野守備・走塁コーチは、「コミュニケーションというか、ヌートバーがどこまで声かけとか連携ができるかなっていうところが、僕の中でも課題ですね」と漏らす。

 内野とのコミュニケーションを含めた守備の連係に関して、「センターを中心にしてやる」と優先順位の実を明らかにした清水コーチは、「誠也も吉田もいるので。かなり難しいと思います」と不安を口にする。

「こっちも色々と模索する。練習日がそんなにない。いつ来るのか、いつ練習できるのか。そのためのコミュニケーションが取りたい。球場でのコミュニケーションをできるだけ取りたいんですけど、本当になかなか難しい。ここに呼ばれるような選手なのでやってくれると信じている。ただ、私としては実際のプレーを見ていないので、来てからいろんなことを話したい」

 数字では超優良な外野手であるヌートバー。本番まで日はないが、首脳陣の不安を拭い去るパフォーマンスに期待したい。

取材・文●羽澄凜太郎

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