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プロ野球

“ゆあビーム”炸裂の田宮裕涼、交流戦首位打者の水谷瞬――今季ブレイクを果たした2人が「ダイヤの原石」だった頃<SLUGGER>

西尾典文

2024.06.28

同年齢でプロ入り同期の田宮とともにブレイクを果たした水谷。現役ドラフトで得たチャンスを見事モノにした。写真:産経新聞社

同年齢でプロ入り同期の田宮とともにブレイクを果たした水谷。現役ドラフトで得たチャンスを見事モノにした。写真:産経新聞社

 2年連続最下位から一転、今シーズンは開幕から上位争いに加わっている日本ハム。そんなチームにあって、驚きの活躍を見せているのが田宮裕涼と水谷瞬の二人だ。

【動画】超新星・水谷瞬、MVPに輝いた交流戦ハイライト!

 田宮は昨年までの5年間でわずか31試合の出場で通算13安打と二軍暮らしが続いていたが、今シーズンは開幕から正捕手に定着するとヒットを量産。ここまでリーグ2位となる打率.326をマークしている(6月26日終了時点)。盗塁阻止率もリーグトップの.412を誇るなど、守備面での貢献度も非常に大きい。まさに攻守の要と言える存在となっているのだ。

 一方の水谷も、昨季まで在籍していたソフトバンクでは5年間で一軍出場は1試合もなかったが、昨オフの現役ドラフトで移籍すると二軍で結果を残して5月下旬からは外野のレギュラーに定着。セ・パ交流戦では15試合連続ヒットを放ち、歴代最高打率となる.438をマークし、交流戦MVPを受賞したのだ。現役ドラフトで移籍した選手では、昨年の細川成也(DeNA→中日)に匹敵するブレイクと言えるだろう。

 この2人は同学年で、ともに高卒6年目ということでも共通している。では、彼らの高校時代に現在の活躍に繋がる片鱗はあったのだろうか。

 まず田宮だが、千葉の成田高校で下級生の頃からレギュラーとして起用されており、当時から県内では評判だった選手である。私が初めてプレーを見たのは2年春の県大会、対専大松戸戦だった。この試合で3番・キャッチャーで出場した田宮は2本のヒットを放ち、盗塁も決めるなど活躍。また、守備でも2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球で1.9秒台を連発するなど、スローイングも高いレベルにあった。
 この年の12月に行われた千葉県選抜チームの台湾遠征でも主将を務めており、その壮行試合では現在、楽天でプレーしている清宮虎多朗(八千代松陰)などとバッテリーを組み、攻守に存在感を示している。3年夏の東千葉大会では決勝で敗れて惜しくも甲子園出場は逃したが、6試合で11安打、2本塁打、打率.524という見事な成績を残している。ドラフトの指名順位は6位だったが、「意外に低かった」という感想を持ったのをよく覚えている。守備、打撃ともに高校から支配下指名でプロ入りするのに相応しいだけの力を持っていたことは確かだ。


 ただ、3年夏に素晴らしい成績を残しているものの、打撃に関してはそこまで圧倒的な力がある選手だったという印象はない。現役で高卒の攻撃型捕手としては森友哉(オリックス)や、プロ入り後に外野にコンバートされた近藤健介(日本ハム)がいるが、彼らの高校時代と比べられるようなレベルではなく、同学年の石橋康太(関東第一→中日)の方が選手としてのスケールが大きかったことは確かだ。

 また、守備に関しても強肩ではあったものの、驚くようなスローイングをするわけではなく、現在話題の“ゆあビーム”のような凄さはなかった。これまでの5年間で地道な努力を積み重ねた結果が今年大きく花開いたと見るのが妥当だろう。
 
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