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MLB

フィリーズのサービス犬があまりの愛くるしさにSNSで人気沸騰! 訓練を経て2年後には退役軍人の下へ<SLUGGER>

松山ようこ

2025.07.08

スヤスヤと眠るラブラドールレトリーバーのサービス犬タガー。フィリーズの新たな人気者として注目を集めている。写真:GETTY IMAGES

スヤスヤと眠るラブラドールレトリーバーのサービス犬タガー。フィリーズの新たな人気者として注目を集めている。写真:GETTY IMAGES

 フィリーズに愛らしいメンバーが加わった。ラブラドールレトリバーの「タガー」だ。今年4月24日生まれの仔犬で、退役軍人へのサービス犬見習いとして活動中だという。名前の由来は、1980年の球団創設以来初のワールドシリーズ優勝に貢献したリリーフ左腕で、海兵隊予備役でもあった故タグ・マグロウにちなむ。

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 犬好き大国アメリカで、レトリバーは最も人気の犬種だ。「タガー」も、あまりの愛くるしさにSNSで話題沸騰。7月1~2日には、本拠地シチズンズバンク・パークでお披露目イベントが開催された。タガーはあちこちで大勢の人や球団マスコットの「フィリー・ファナティック」と触れ合い、取材やテレビ出演に追われるも、大人しく抱かれたまま。そのままスヤスヤと眠ってしまうなど、堂々としたデビュー姿だった。

 タガーにとっては、多くの人に囲まれながら取材や撮影をこなすことも訓練の一種。ファンや子供たちから「かわいい!」とテンションの高い声をかけられ、多くの見知らぬ人に触られたりしても、大人しく落ち着いていたが、それこそがタガーが仔犬にして優秀な証。いずれは、いざという場面でも安定して人の指示を聞き、訓練通りの行動ができるようになるという。

 日本では「補助犬」とも呼ばれるサービス犬は、アメリカでは身体的・精神的な障害を持つ人を補助する犬の総称で、盲導犬や介助犬、聴導犬もサービス犬に分類される。

 支援内容も幅広く、タガーをトレーニングする『チーム・フォスター』の創設者ニック・リアマン氏によると、「てんかんなどの発作を察知したり、血糖値上昇に気づいて飼い主に警告したりするほか、パニックアタックの兆候を察知したり、悪夢を見ている時などの心拍変動や呼吸の乱れを察知して予防的に介入することができるようになります」という。
 長年に渡って多くの戦争に関わってきたアメリカでは、心身ともに傷を負った兵士が多いこともあってサービス犬のニーズは高く、社会貢献活動として広く認知されている。

 なお、タガーの由来になったタグ・マグロウの息子は世界的カントリーシンガーのティム・マグロウ。2004年に脳腫瘍で亡くなった父を偲んで、脳腫瘍やPTSD患者、退役軍人の支援を目的にした財団を運営している。ティムはタガーについて「まだ幼いけれど、タガーは戦争で見えない傷を負った退役軍人にとっての英雄になるだろう」と語り、父の代名詞でもあった「Ya Gotta Believe(信じることさ)!」のフレーズを添えて、力強く太鼓判を押している。
 
 ちなみに、フィリーズがサービス犬を迎えたのは今回が初めてではない。23年にも「メジャー」というラブラドールレトリバーが、同様に退役軍人のサービス犬見習いとしてコミュニティイベントに参加していた。

 メジャーは2年間の訓練期間を経て、ある退役軍人のパートナーとしてマッチングされた。タガーも、いずれはサポートが必要な退役軍人の下へ送られる予定だ。

 サービス犬は賢く癒やされる存在で、慈善活動としても人気が高い。そのため、SNSなどでもバズリやすい素材なのだが、タガーの人気ぶりは規模が違う。球団もベースボールカードを制作したり、SNSでのスタメン発表にもタガーの写真を添えたりと、力を入れてプロモーションしていることがよく分かる。

 MLBでは他にも、ナショナルズがゴールデンレトリバーのバットドッグ「ブルース」をメジャーに昇格させて話題になったばかり。大谷翔平(ドジャース)の愛犬デコピンの人気もさることながら、犬好き大国アメリカらしい活動に今後も注目していきたい。

文●松山ようこ

【著者プロフィール】
まつやまようこ。フリーランスの翻訳者・ライター・インタビュアー。野球をはじめとするスポーツやエンターテイメント関連コンテンツの取材・制作を請け負う。『SLUGGER』で「笑劇トピックス」を連載中。訳書『ピッチングニンジャの投手論』『VADER TIME ベイダータイム: 皇帝戦士の真実』。

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